3分解説/決算書で分かるIntel(インテル)の隠された真実

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米国企業の解説
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出所:会社資料より筆者作成

はじめに

・決算書サマリーでは見えなかった、
Intelの隠された真実を解き明かしていきます。

・会社概要①:半導体チップの設計~販売まで実施する垂直統合型の大手、
 下の図1(業界図)の全部に登場している。
 特に注目なのが、【ファウンドリ】に進出しようとしていることだ。

・決算書と比較しやすいように、1ドル=100円として記載しています。
・目次を見るだけでも30%網羅できます!
図1:経産省HPより

米政府から最も支援される企業(補助金+減税のツインロケット)

 アメリカの半導体生産シェアが30年間で25%減少し12%に低迷している。一方でIT機器のみならず、軍事技術においても半導体の重要性は高まっている。

 この事態に対応して、7兆円の規模の補助金/CHIPS法を用意した。Intelは2022年1月にアメリカ国内に新工場を建設する計画を発表していて、他の企業に先だって調整している。この政策の凄いところは、補助金+減税の2重作戦ということである。これだけ支援を受けて成長しない企業はない。それが、技術も経験値もある企業なら尚更だ。

 (詳細-興味のある方のみ)半導体製造の設備投資に対する25%の投資減税も実施し、米国における半導体工場建設を補助金と減税の両面で援助する。CHIPS法は、中国との技術競争に備えた法律で、半導体産業への資金援助527億ドル。内訳は半導体製造390億ドル(軍事防衛向け含む)、半導体研究開発助成に132億ドル、セキュリティ関連に5億ドルとなっている。

tsmc(台湾大手)を猛追?-受託生産を開始

 受託生産を行っているタワー・セミコンダクター社を2022/1Qに買収し、ファウンドリー事業を拡大しようとしている。ファウンドリーは台湾のtsmcと韓国のサムスンが、かなりのシェアを握っていて、ここをどれだけ切り崩せるかがポイント。

 2022/2Q時点では、ファウンドリー事業の売上は122億円(2Q)で全体の1%(下図のオレンジ)に留まっており、サムスンに追い付くにも少し時間を要する。この点、米半導体クアルコムやAmazonと契約を締結していて、今後の成長が楽しみな分野である。

図2 出所:会社資料より筆者作成

パソコン一本足打法?-売上の構成を見てみる

 Intelというと、PCの半導体のイメージがあり、PCの依存度が薄まってきた印象でしたが、上の図2から分かるように、依然として50%程度がPC(client computing)部門の売上である。 ・データセンター部門が売上の32%を構成していて、売上には貢献しているが、下の図3を見る限り苦戦している。

 売上の鈍化傾向、営業利益率が大幅に減少していて、ピーク時2020年に46%あったものが、2022年には17%にまで落ち込んでいる。他のIT大手(Amazon、マイクロソフト)との競争が激化していることが伺える。

 (考察)データセンターは強い競合がいるため、欲張らないで徐々に伸ばしていく展開を想定している。PCと受託生産を拡大することを想定している。決算書においても、一時的にデータセンター部門が先頭に記載されていたが、現在ではPC部門が先頭となっている。

図3 出所:会社資料より筆者作成1Qと2Qの合計の推移 単位:億円

成長は止まってしまう?

 過去5年の売上は平均7%程度成長を維持していた(下のグラフ)。 ・2021年12月の年間成長率は1%であった。

 (考察)2021/1Qの成長率が▲6.7%、2022/2Qが▲21.9%となっており、時間の経過に伴って成長率が下落している。2022/年間の成長率もマイナス成長となることが想定される。

(考察)2019年からコロナでの在宅ワークの増加に伴い、PC購入の2年間程度の需要の先取りが行われた。

 (考察)2022年、2023年は若干落ち込むが、2024年以降は増加傾向が継続するとIDCでも想定されている。また、先進国でのPCの普及率は90%を超えているが、新興国では40%程度とPCを使用する人口がまだまだ増加することが考えられるため、継続した成長が望める分野ではある。

出所:会社資料により筆者作成

AMDの脅威

 PCの半導体チップ分野では、AMDが競合である。 Mercury Researchによると、2018年のAMDのシェアは8.6%で、2020年には20%程度まで伸ばしてきた。ただし、2021/4QではAMDは25%程度となり、AMDのシェア拡大の成長は鈍化しており、Intelが健闘しているといえる。

 また、Mercury Researchによると、server関連においては、AMDが10%程度と、Intelがまだまだ圧倒的シェアを取っている。

2022/2Q の業績が一過性のものか?

 営業利益が赤字に転落している。ただし、1Qは4,341億円の黒字であったため、一過性のものか経過観察が必要。

 在庫が6か月で1,400億円増加している。また在庫率も13.7%から、20.9%と増加している。 (考察)在庫過剰から値引き販売に繋がり営業利益率の押し下げ要因になっている。

 売上総利益率は36.4%と業界水準程度であり、他のセクターと比較すると高めであることから、半導体セクターの強さが分かる。

出所:会社資料を筆者加工

再浮上はいつ?

 (考察)半導体の先取り需要が解消される2023年後半を想定する。ファウンドリー事業の新工場も2023年を目標としている。業績が悪化しているように見える時に、株式を仕込んでおくのは良いと思う(長期目線、短期は×)。

 ファウンドリー分野の市場規模が7兆円程度あり、10%(20%以上は狙っていると想定している)でもシェアを取れば7,000億円となり、売上を10%以上押し上げ要因となる。 営業キャッシュ・フローは6か月で6,700億円と、キャッシュは増加している。

 利益剰余金が7兆2,985億円、当座比率1.85倍と財務体質は非常に良いので、再浮上まで耐えることはできる。

おまけ

 新生Intelが2021年より再発進。 前任者の従業員との不適切関係があったため、CFOだったスワン氏が、暫定CEOを経てCEOに就任していた。 アクティビストの要求により、この財務系のスワン氏に代わって、技術系である初代CTOのゲルシンガー氏が2021/2からCEOに就任している。これは、良い結果へと繋がると思われる。

おわりに

・最後まで、お読みいただきありがとうございます!
・この点をもう少し詳しく解説して欲しい、解説して欲しい他の会社などありましたら、
 気軽コメントください。お待ちしています。

・個別銘柄の記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。

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