規模拡大中のブリストル・マイヤーズ(BMY)を3分解説/公認会計士によるここだけの徹底分析/お宝株発見で寝るだけ投資

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米国企業の解説
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はじめに

  • 大型買収を行い成長著しいブリストル・マイヤーズ・スクイブを検討してみたいと思います。

【ここに注目】

  • 2020年の営業赤字と今後の営業利益
  • 買収の効果と将来性
  • 注目の新薬、デュークラバシチニブとレポトレチニブ

※決算書と比較しやすいように、1ドル=100円として記載しています。

出所:楽天証券ツールより筆者作成、日足3か月

どんな会社?

出所:会社資料より筆者作成

 主力治療薬は販売順に、売上割合27.3%のエリキュース(Eliquis)、売上割合22.5%のレブラミド(Revlimid)、売上割合16.9%のオプジーボ(Opdivo)となる。

 エリキュース(Eliquis)は、抗血栓剤で、非弁膜症性心房細動による脳卒中の発症を抑制し、静脈血栓塞栓症を治療するとされていて、ファイザーと共同開発された治療薬である。2021年に世界で2番目に売れた治療薬となっている。前年比13.5%増となっているものの、欧州では、2021年5月にEliquisの規制上の独占権が失効したことを受け、後発品メーカーが英国とオランダでEliquisの後発品の販売を開始している。また、ブリストルの特許が切れる前に、欧州の他の国でも後発医薬品を販売しようとする可能性がある。

 レブラミド(Revlimid)は免疫調節薬で、多発性骨髄腫、リンパ腫の経口治療薬であり、独占権を失っていることから、ジェネリック薬品の販売に押され、前年比14%減となっている。米国では販売額は横ばいであるが、米国外において44%の減少となっている。※セルジーンの買収の効果。

 オプジーボは、2014年に小野薬品工業株式会社と共同開発されたガンの治療薬である。点滴による治療で手術や放射線治療をする必要がなく、これまでの抗がん剤のようにガンの増殖を抑える治療薬とは異なり、ガン細胞を消そうとするものの働きを強めてくれるタイプの治療薬とされている(治療薬の詳細はメルクの記事を参照ください)。競合治療薬であるメルクのキイトルーダに押されているものの、前年比10%増となっている。 

 上記3つの治療薬で、ブリストルの2022年売上の66.8%を占めている。この主力の3つの治療薬を見ると、販売額が大きいものの競合やジェネリック薬品との競争にさらされていることが分かる。そのため、次の主力を育てる必要があり、それが近年行った大型買収に繋がっているものと考える。

出所:会社資料より筆者作成

2020年の営業赤字と今後の営業利益

 2020年に急激に営業利益が悪化している。これは、M&Aに伴う影響が大きな原因である。

 2020年の決算書に「IPRD charge – MyoKardia acquisition」として、1兆1,438億円が計上されている。IPRDは、インプロセスR&D(In-Process Research and Development)の略称で、仕掛研究開発費と言われるものである。買収によって、資産や負債も受け入れるが、特定の研究開発目的に利用されており、他の研究開発に代替使用できない資産をいう。当該資産は買収時に研究開発費として費用計上されるのが通常である(会計上のルール)。

出所:会社資料より筆者作成

 つまり、ミオカルディア社(MyoKardia)の買収に伴って、1兆1,438億円が特別に費用として計上されたものである。これは継続的に発生するものではないため、除外して考えた方が良いだろう。この1兆1,438億円を除いた2020年の営業利益は4,591億円、営業利益率は11%となる。買収に伴う研究開発費と無形固定資産の償却の増加についても決算書では言及されているが、数値が抜粋されていないため、ここでは考慮していないが、営業利益率が改善していることを考えると、2020年の費用の増加は臨時的なものであったと考える

 2021年及び2022年の営業利益率は18.6%、18.8%となっており、複数の大型買収後に営業利益率が低下し、2019年以前の20%後半の営業利益率には程遠いが、18%台はキープしている。

次のページでは、成長の起爆剤となり得る買収による効果とその将来性、パイプライン、株価について検討しています。

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