科学機器最大手/サーモ・フィッシャー(TMO)を3分解説/投資環境、株価、決算の状況を会計士が分析

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ヘルスケアセクター

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はじめに

・ベア局面でも強いディフェンシブ銘柄代表のヘルスケアの中で異彩を放つ
 サーモ・フィッシャー・サイエンティフィックについて検討してみたいと思います。

【ここに注目】
①M&A戦略からみるサーモ・フィッシャーの成長戦略、将来性
②高い営業利益率と成長率を維持できるのか

・決算書と比較しやすいように、1ドル=100円として記載しています。
出所:楽天証券ツールにより筆者作成

どんな会社?

出所:会社資料より筆者作成

 サーモ・フィッシャーは、医療、化学、科学で用いられる機器、消耗品、ソフトウェアやサービスを提供する最大手の会社である。主な顧客は製薬会社、バイオテクノロジー会社、病院、臨床研究機関などである。一般的な製品ではなくニッチな市場ではあるが、競合が少ないため、製品やサービスの高単価を維持することができる。研究者は結果が全てなため、多少の価格差(NGS:次世代シーケンサーでは1,000万円も異なることもある)であれば、効率が良い製品を選択することが、サーモ・フィッシャーの強さを支えている。

出所:会社資料より筆者作成

 サーモ・フィッシャーのセグメントは4つあり、①ライフサイエンスソリューション、②分析機器、③特殊診断、④ラボ製品となっている。①ライフサイエンスソリューション、研究分野における新薬やワクチンの発見と製造に使用される機器、試薬、消耗品を提供している。②分析機器は、実験室での多様な用途に使用される機器、ソフトウェア、消耗品及びサービスを提供している。③特殊診断セグメントは、機器、広範囲の診断テストキット、試薬、培地などを提供する。④ラボ製品は、ラボに必要な製品とソリューションを提供する。

出所:会社公式(US)HPより

 各セグメント毎の製品ラインナップは上の図の通りである。上の図やカタログからも分かるように、サーモ・フィッシャーと言うと機器大手のイメージがあった。だが、売上の内訳(下の円グラフ、真ん中)を見てみると、機器(「Instruments」)の売上は一番小さく、サービスや消耗品(「Consumables」)の販売の方が大きいことが分かる。認識を一度改める必要がありそうだ。

出所:会社公式(US)HPより

高い利益率と売上成長率

 営業キャッシュ・フローが継続的に高い水準の黒字と、営業利益も出ているため、経営は安定している。特に営業利益率は2017年に14%だったものが、2018年16%、2019年17%、2020年24%、2021年24%と徐々に改善しているのが特徴だ。また、後述するが、2019年、2020年にM&Aが多かったが、上手く融合し営業利益率もキープしている。

出所:会社資料より筆者作成

 直近の2022/2Qの営業利益率は18%となっている。人件費と資材の高騰により原価が上昇したことと、ドル高による価格転嫁が追い付いていないことが原因と考えられる。この点は2022夏から秋にかけて販売価格改定が行われているため、2022/3Q以降の数値もチェックしておきたいところである。

 次に、売上成長率は直近5年間では、平均17%となっている。2019年はコロナにより若干低迷しているが、そのリバウンドで2020年、2021年は大きく成長している。

出所:会社資料より筆者作成

 2022年の直近の成長率は、2022/1Qが19%、2022/2Qが18%とコロナ前の平均値へ回帰してきている。ただし、直近でM&Aを行っていたこともあり、売上の成長が単にM&Aの効果だけではなく、継続するものかは注視する必要がある

 念のため、2022年の1Qと2Qの営業利益率と売上成長率をセグメント毎に分析してみると面白い結果となった(下の棒グラフ)。

出所:会社資料より筆者作成

 まず、営業利益率が一番良いセグメントは、圧倒的に①ライフサイエンスセグメントである。営業利益率は47%あり、売上のシェアでも31%を占めている。一方で、営業利益率が一番低いのが、④のラボ製品セグメントであり、営業利益率は12%となっている。

 ここで、売上成長率と合わせてご覧いただきたいのだが、①ライフサイエンスセグメントの成長率は▲3%となっていて、④ラボ製品セグメントの成長率は+53%となっている。④のラボ製品セグメントの売上の伸びは素晴らしいが、利益率の低い④ラボ製品セグメントが伸びて、利益率の高い①ライフサイエンスセグメントが停滞しているのは、若干不安の残る点である

 次ページでは、サーモフィッシャーの今後の強さの源泉となるM&A戦略と大いなる野望について検討していきたいと思います。

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