文系でも簡単に分かる、ヘルスケアセクターのアレコレ

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基礎が簡単に分かるシリーズ
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はじめに、高齢化社会とヘルスケアセクター

 国連の「世界人口推計2022年版」によると、世界の出生時平均寿命は、1990年の64歳から、2019年に72.8歳に達し、1990年以降でほぼ9歳伸びています。死亡率はさらに減少する見込みであるため、2050年の世界平均寿命は約77.2歳になると予測されています。

 また、65歳以上の人々が世界人口に占める割合は、2022年の10%から2050年には16%に上昇すると見込まれています。その時点における世界中の65歳以上の人数は、5歳未満の子どもの2倍超、12歳未満の子どもとほぼ同数となると見られています。

 このように、平均寿命が延び、予防、治療、介護など多方面でヘルスケアの必要性が高まっています。米国、日本を始め先進国では、医療支出の割合がGDPの10%超を占めており、さらに拡大傾向となっています。これを受けて、ヘルスケアセクターの市場規模は、2022年に1兆9千億円から2030年末までに2兆5千億円に達すると予測されています(ヘルスケア企業の成長は止まらない)。

 従来ヘルスケア銘柄というと、ディフェンシブ銘柄と思われており、年間の成長率は低いままでした。ただし、ヒトゲノムの解析技術の向上により、創薬分野が加速している。そのため、ITや半導体銘柄に劣らない成長を遂げる銘柄も出てくると思うので、どんな銘柄があるか着目してみて欲しいです。

新薬ができるまで(製薬企業のパイプライン)

 パイプラインという言葉が出てきますが、これは製薬会社の新薬開発のラインナップを意味しています。製薬会社のホームページ等には必ずパイプラインが記載されていますが、これは製薬会社の将来の収益に直結する非常に重要なものであるため、開示されています。ただ、新薬開発の全体像が分かっていないと、新薬開発がどの時点まで進捗しているかが分からないので、ここでは全体像を把握してもらえればと思います。

筆者作成
  • 「基礎研究(1~2年)」は、薬の元となる新規物質の発見と創製が行われます。
  • 「スクリーニング(1~2年)」は、作用する化合物を選定します。
  • 「非臨床試験(3~5年)」は、マウスやラット等で有効性と安全性を確認します。
  • 「臨床試験(3~7年)」は、人で有効性と安全性を確認します(フェーズ1~3の3段階)。
  • 「承認・申請(1~2年)」は、FDA(米)や厚労省などに申請し、専門家による審査が行われます。

 一般的に新薬開発の期間は10年、成功確率は1/10,000、開発コスト1,000億円と言われています。

筆者作成

 臨床試験(治験)は、3段階に区分されて、多くの製薬会社では、フェーズ1からフェーズ3、加えて承認申請、審査終了を開示しています。フェーズ1を「臨床第Ⅰ相試験」と表現している会社もあります。

 フェーズ3まで進むと新薬開発がかなり進んでいるように思えますが、この段階で開発断念や、承認申請後に審査落ちして、新薬が産まれないこともあるため、パイプラインを見る際にも、期待しすぎない方が良いと思います。

日米の医療環境の違い

 日本では、みんな基本的に保険に加入しており、よほどの事がない限り病院に行くことができます。これは、国民皆保険制度と言われています。一方で、米国では保険は職場を通してか、個人で医療保険会社と契約することとなり、公的保険で賄われているのは、65歳以上の高齢者やハンデがある方向けのメディケアと、低所得者向けのメディケイドのみとなっています。

 保険に入っていない場合は、医療費が保険でカバーされないため高額な医療費が請求されるか、医療手当を受けないこととなっていました。これを変えようとしたのが、オバマ元大統領でした。通称オバマケアにより、低所得者向けのメディケイドの対象範囲が拡大して、補助金が支給されるため、保険に加入できる方が増加しました。また同時に、米国民や永住者なども医療保険の加入が義務付けられることとなりました(違反すると罰金)。

 これにより、無保険者は約5,000万人から約1,000万人まで減少しました。この結果、保険の加入者は、職場を通して加入する人1億7,500万人、個人で加入する人1,400万人、メディケアで加入する人2,400万、メディケイドで加入する人7,000万人と大幅に増加することとなりました。

 次に特徴的なのが、日本であればどこの病院でも手当を受けることができます(一部紹介状などの慣習はあるが、、)が、米国に関しては、保険会社と提携している医師に手当してもらうというのが通常です。間違って提携していない医師にかかってしまうと、法外な治療費が請求されてくることもあるようです。

 米国の保険加入率は上がってきましたが、世界の保険加入率は低いことと、世界人口は増加傾向のため、保険業界にとっても成長余力は十分あります

医療用医薬品と一般用医薬品の違い

 医薬品は病院で処方される「医療用医薬品」とドラッグストア等で購入できる「一般用医薬品」に区分できます。

 「医療用医薬品」は効果の高いものが多い半面、副作用にも注意なため、医師は診断した上で処方を出し、さらに薬剤師の目も通って、それぞれの患者の症状や体質に合った薬が選ばれています。「医療用医薬品」として長期間使用され、安全性が十分に確認されたものは、「要指導医薬品」として市販薬に転用されます。「要指導医薬品」は購入の際には必ず薬剤師から対面での指導や情報提供を受ける決まりになっているため、インターネットでの購入はできません。「要指導医薬品」として市販薬として販売された後、安全性に問題がなければ「一般用医薬品」として販売されることになります。

 医療用医薬品は、医療現場で使用され、特許に守られていることが多いため、販売量は少ないが、収益率が高いことが見込まれます。一方で一般用医薬品は、広く一般に使用され、特許切れがありジェネリック薬品等の代替品も多くなるため、販売量は多い反面、収益率は低くなる傾向があります。

ゲノム編集と遺伝子組み換えの違い、医療への応用

ゲノム編集と遺伝子組み換え

 ゲノム編集は、ゲノム内のDNA配列を意図的に切断し、切断されたDNAが自動で修復される過程で遺伝子の機能が書き換えられることを狙った技術で、遺伝子の機能の停止や強化することができます。ゲノム編集というのは、技術の総称を言います。

 ゲノム編集は2000年ごろから、従来の遺伝子組換えに代替する技術として注目が集まり、これまでにさまざまなゲノム編集酵素(切断するハサミの役割)が開発され「TALEN(Calixが植物のゲノム編集で使用)」、2020年にノーベル化学賞を受賞した「CRISPR/Cas9」などが主要な酵素として利用されています。 

 遺伝子組換え技術では、ゲノムの中に狙った機能を持つ他の生物(大腸菌など)の遺伝子を挿入して、欲しい機能を得ます。外来遺伝子が生物のゲノムのどこに挿入されるかも、どのような働きをするかも十分にコントロールすることができないため、想定しない機能を持つ生物を生み出す可能性があったり、新たな病気を引き起こす危険性があったりしました。

 一方、ゲノム編集はあくまでその生物が持つDNAの狙った場所を切断して編集するため、遺伝子組換えと比較して、安全性が高いことがわかっています。また、遺伝子組換え技術は外来遺伝子を挿入するのに対して、ゲノム編集では、外来遺伝子を挿入しないノックアウトと、外来遺伝子を挿入するノックインに大別されます。ノックアウトにより作成されたゲノム編集食品は、届け出は必要ですが、遺伝子組み換えのように表示義務はなくなりました。

DNAとRNA

 ざっくり言うと、DNAは遺伝情報を保存するためのもの、RNAは遺伝情報を利用するためのものとなります。covid-19の関係で、mRNA(メッセンジャーのm:情報を持つ、情報の届け先)という表記を良く目にしたと思います。他にtRNA(トランスファーのt:結合する)、rRNA(リボソームのr:装置)がありますが、基本的には役割が異なるだけでRNAとしては一緒です。

 ゲノム編集や遺伝子組み換えの作用の流れとしては、まず、新しいタンパク質を合成することがゴールとします。遺伝情報の設計図であるDNAを元に、mRNAが地図として届け出先を指定して、タンパク質合成に必要なアミノ酸(図のCodons、Amino acids)をtRNAが結合させます。その結合させる場所が装置としてのrRNA(図のRibosome)になります。

出所:NIH公式HPより

 ゲノム編集は遺伝子組み換えで良く出てくる言葉で、ベクター (vector) があります。これは、外来遺伝物質を別の細胞へ運ぶため箱のイメージで、DNAやRNAです。この代表例としてプラスミドがあります。

ゲノム医療

 ゲノム編集は、動物や植物については抵抗感があるかもしれませんが、医療分野での応用については積極的に研究が進められています。遺伝子治療のひとつの手段としてゲノム編集が用いられ、欧米を中心に多くの臨床試験や治験が開始されています。

 例えば、AIDS(エイズ)があります。この疾患については、現状では根治は不可能ですが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の体内での増殖を防ぐことができれば発症を遅らせることが可能ということが分かっています。そのため、HIVの受容体をゲノム編集(ノックアウト)により無効化する方法を、治療手段とできるか研究開発が続けられています。

 また、血液細胞は、ゲノム編集を行うために必要なCRISPR/Cas9などのゲノム編集ツールを細胞に取り込ませやすいため、血液疾患へ適用するための研究が数多くされています。

 ゲノム編集は疾患の原因を根本から取り除くことが可能な技術と考えられています。薬を投与する対症療法とは異なり、根治できる可能性があります。医療分野の中でも特に難病疾患の克服などはニーズが非常に強く期待されている分野です。

抗原と抗体

 COVID-19の検査で、抗原検査と抗体検査というものがあり、少し混乱した時期もありました。そこで、ここでは、抗原と抗体の違いについて考えてみようと思います。

  • 抗原は、COVID-19ウイルス
  • 抗体は、COVID-19に強い身体

 このため、抗原検査はCOVID-19ウイルスが現時点で体内に存在しているかの検査になり、抗体検査は、COVID-19ウイルスに強い身体の状態になっているかの検査になります。

 さらに、COVID-19との、今後の付き合い方について考えてみようと思います。そこで、次に、抗体の持続性と終生免疫について考えてみようと思います。

 COVID-19は、インフルエンザに似ていると言われます。インフルエンザは毎年冬に予防接種をしていますが、インフルエンザは抗体の持続性が短いこと、流行する型(A,B,Cなど)も毎年異なるため、毎年の予防接種が必要になります。COVID-19も抗体の持続性が短く半年程度と言われています。また、型(オミクロン、デルタなど)も変化してきています。このため、COVID-19に対しては、抗体を作るために、都度ワクチン接種が必要になると言われています。

 COVID-19やインフルエンザと異なるのが、風疹などの感染症です。風疹などは、一度予防接種か実際に風疹になり抗体ができた場合、基本的には再度風疹になることはないと言われています。一度抗体ができて、抗体が持続することを、終生免疫と言います。

 まとめとしては、COVID-19においては、終生免疫がないため、何度もかかってしまうということになります。

おわりに、さらに拡充中

・最後まで、お読みいただきありがとうございます!

・ヘルスケア関係の?を解説していこうと思います。
 この部分が分からないので、解説してというものがあれば
 オーダー頂けたら嬉しいです。

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