はじめに
ヘルスケアセクター全体に言えることだが、世界人口が増加し、高齢化が進んでいる状況では、概ね成長が期待できると言える。また、インフレで価格が高騰しても、景気後退が来ようとも、生命にかかるところは削減できないため、必須なセクターであり今後も堅調に成長していくことが分かる。
ヘルスケアセクターの時価総額TOP10をまとめてみた。どの企業もとても良い企業なので、気になる企業があれば、リンク先から詳細をご覧頂ければと思います。
※決算書と比較しやすいように、1ドル=100円として記載しています。
ヘルスケアセクター時価総額TOP10
順位 | ティッカー | 銘柄名 | 時価総額 (億円) | PER(倍) | 売上高 成長率 前期比 (%) | 配当 利回り (%) |
1 | UNH | ユナイテッドヘルス・グループ | 488,466 | 28.41 | 11.84 | 1.26 |
2 | JNJ | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 436,470 | 20.77 | 13.55 | 2.74 |
3 | LLY | イーライリリー | 318,337 | 53.51 | 15.4 | 1.19 |
4 | ABBV | アッヴィ | 255,667 | 22.11 | 22.69 | 3.94 |
5 | PFE | ファイザー | 247,449 | 10.78 | 95.16 | 3.71 |
6 | MRK | メルク | 239,674 | 19.12 | 17.31 | 2.95 |
7 | TMO | サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック | 205,454 | 25.81 | 21.71 | 0.23 |
8 | DHR | ダナハー | 193,188 | 29.84 | 32.17 | 0.38 |
9 | ABT | アボットラボラトリーズ | 183,843 | 24.68 | 24.47 | 1.19 |
10 | BMY | ブリストル・マイヤーズ スクイブ | 153,183 | 22.59 | 9.09 | 3.03 |
各銘柄の特徴の紹介
NO.1 ユナイテッドヘルス・グループ
- 時価総額70兆円超の超巨大企業
- ヘルスケア及び医療保険会社の最大手
- デジタルヘルスケア、遠隔診断を開始
- 抜群の安定性、ディフェンシブ銘柄として保有しておいて損はない
- 過去5年間の売上成長率は平均9.3%成長している
NO.2 ジョンソン・エンド・ジョンソン
- 医薬品と医療機器を取り扱う
- 日用品事業をスピンオフ
- 医療品および医療機器事業のみでは、年間成長率8%、営業利益率30%の超優良企業となる
- うつ病に効くエスケタミン/SPRAVATOの開発に期待
- 配当貴族指数の構成銘柄で59年間増配している。現在の配当利回りは2.74%
- 代表薬は「ステラーラ」や「イムブルビカ」
NO.3 イーライリリー
- バイオ医薬品企業最大手
- 他のヘルスケアセクター株のPERが20倍台なのに対して、PER50倍超と期待の高さが伺える
- 糖尿病治療薬(主に「トルリシティ」)を始めとして、がん治療薬(主に「ベージニオ」「アリムタ」)、免疫治療薬(主に「「トルツ」)など幅広い代表薬がある
- 肥満治療薬の「チルゼパチド」に期待
- アルツハイマー型認知症治療薬の「ドナネマブ」に期待
NO.4 アッヴィ
- バイオ医薬品企業
- 免疫、⾎液腫瘍、神経系に強みを持つ、代表薬は、関節リウマチ治療薬のヒュミラ(世界年間売上1位)
- 美容とアイケアに強いアラガンを買収し、ポートフォリオのバランスが改善
- 年間成長率18%(紹介しているバイオ医薬品企業の中ではTOP)
- 配当貴族指数の構成銘柄で、現在の配当利回りは3.94%(紹介している企業の中ではTOP)
- 営業キャッシュ・フロー成長率、5年平均27%
NO.5 ファイザー
- バイオ医薬品企業
- COVID-19のワクチンと治療薬で売上を倍増させている。米政府は2022年10月に公衆衛生上の緊急事態指定を90日間延長し、医療機関への助成や低所得者向けの公的医療保険(メディケイド)の措置も延長
- 代表薬は、静脈血栓塞栓症のエリキュース(世界年間売上2位)、肺炎球菌ワクチンのプレベナー、乳がんのイブランスがある。
- 1兆円の研究開発費
- 偏頭痛治療薬1位のリメゲパントを有するバイオヘイブン・ファーマシューティカルズを買収
- PER10倍(紹介しているバイオ医薬品企業の中ではダントツに低い
NO.6 メルク
- バイオ医薬品企業
- 2021年6月にウィメンズヘルス事業やジェネリック薬品事業をスピンオフし、新薬開発(がん領域)に特化する企業
- 代表薬は抗がん剤のキイトルーダ(世界年間販売第3位)、オプジーボの競合薬
- COVID-19の経口抗ウイルス剤のラゲブリオが売上の13%を占める
- 営業利益率が27%
NO.7 サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(TMO)
- 医療用機器、消耗品の最大手、医薬品の安全性・有効性・効果の評価、臨床試験運営の管理、医薬品の開発と製造にわたる包括的なサービスを提供している。
- 営業利益率が毎年改善し、2017年に14%だったものが、2022年24%となっている。
- 臨床試験のPPDを1兆7,400億円で買収したことで、検査~治験までのプロセスを全てをカバーしており市場の独占化を図る。
- 中国への依存度が高い(9.1%)、輸出規制の関連は注視
- 4年間の増配率が66%
NO.8 ダナハー
- M&A会社再建の独自のノウハウである「ダナハー・ビジネス・システム」を有する
- 数百社をM&Aしてきている
- 利益率、成長率の低い環境セグメント(水質関連事業と製品識別事業)を分社化
- COVID-19用診断薬で大きく成長したが、それ以外の事業でも成長率は15%、営業利益率は25%
- ゲノム医療に進出
NO.9 アボットラボラトリーズ(ABT)
- 巨大医療機器及び医療用品メーカー
- 新興国のジェネリック医薬品に特化し、特にインドの子会社はインドで最大の製薬企業
- COVID-19の「Rapid Diagnostics(迅速診断)」により、診断セグメントが大きく成長
- 糖尿病関連の医療機器「FreeStyle Libre」が世界最小・最薄・最高精度で期待
- 各セグメントで寡占化に成功している。
- 配当貴族指数の構成銘柄で連続増配50年間、現在の配当利回りは1.19%
NO.10 ブリストル・マイヤーズ スクイブ
- バイオ医薬品企業
- 代表薬は静脈血栓塞栓症のエリキュース(世界年間売上2位)、抗がん剤のオプジーボがある。
- セルジーンを7兆4千億円で買収により、売上+1兆6千億円
- がん治療薬レポトレチニブを有するターニング・ポイント・セラピューティクスを買収し、がん領域の研究を加速させている。
- 新薬候補のフェーズ2.3の割合が大きい
まとめ、と、私のセレクト
どの会社もとても優良企業なため、セレクトするのが難しいが、一つだけ買って良いと言われたら、 手堅い成長が見込めるユナイテッドヘルス・グループを購入します。デジタルヘルス業界はAIとの組み合わせでまだまだ成長余地があり、この辺りはまだ数値として顕在化していないところと思います。
次いで、サーモ・フィッシャーとアボットラボラトリーズとなります。こちらは、寡占化を進めることに成功しつつあるため、競合が少ないことから、成長と利益率の向上を継続することができると考えています。
その他のバイオ医薬品企業は新薬次第のところもあるため、新薬の評価で好みが分かれると思います。そのため、面白いと思う新薬候補と企業を探してみてください。もし、私がバイオ医薬品企業で、一つ選ぶのであれば、アッビィを選択します。理由は、4%弱の高い配当を継続しつつ、年間18%も成長しているためです。なお、2023年に主力薬のヒュミュラが特許切れとなりますが、後継薬が育っていることと、アラガンを買収してアイケア領域をカバーしつつあります。加えて大穴で、PERがめちゃくちゃ低いファイザーですかね。コロナ治療薬はしばらく必要そうなので、キャッシュリッチな会社になっています。
投資スタイルや、一つの銘柄に投資する期間もまちまちかのため、これが正解というものはないと思います(米国のTOP企業はだいたい正解)ので、あくまで参考までに考えてもらえればと思います。
他の、おまとめ記事は下記になりますので、良かったら寄ってみてください。
おわりに
- 最後まで、お読みいただきありがとうございます!
- この点を申し少し細かく検討して欲しいや、 他の企業を分析して欲しいなどありましたらお気軽にお問い合わせください。
- 米国株の分析をしているので、お好みの個別銘柄と出会えたら幸いです。
- 個別銘柄の記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。
コメント