アルツハイマー新薬が話題/バイオジェン(BIIB)を3分解説/投資環境、株価、決算の状況を分析/お宝株発見で寝るだけ投資

スポンサーリンク
ヘルスケアセクター
スポンサーリンク

はじめに

・ベア局面でも強いディフェンシブ銘柄代表のヘルスケアの中で
 アルツハイマー新薬が注目されているバイオジェンについて検討してみたいと思います。
 (9/28にアルツハイマー治療薬のニュースにより+40%の爆騰しています。)

【ここに注目】
①レカネマブ(アルツハイマー新薬)の有効性とインパクト
②バイオジェンの業績と将来性
③バイオジェンの株価推移(割安か?)

・決算書と比較しやすいように、1ドル=100円として記載しています。
出所:楽天証券ツールにより筆者作成、日足3か月

どんな会社?

出所:会社資料より筆者作成

 バイオジェンは、中堅の製薬会社である。バイオジェンは、深刻な神経疾患や、まれな自己免疫疾患がある人々のために治療薬を提供することに重点をおいている。今回は、エーザイと共同開発しているアルツハイマー型認知症の治療薬の効果が良好とのことで注目されている。なお、医薬品はドラッグストア等で購入できる「一般用医薬品」と病院で処方される「医療用医薬品」に区分できるが、バイオジェンは「医療用医薬品」に特化している。

 バイオジェンの販売する治療薬は、売上の69%を占める多発性硬化症(MS:「中枢神経(脳、脊髄、視神経)における炎症性疾患」)治療薬として、「TYSABRI」を始めとして、「TECFIDERA」、「AVONEX」、「VUMERITY」がある。また売上の21%を占める脊髄性筋萎縮症(SMA:「運動に使用する筋肉をコントロールする神経に影響を及ぼす、遺伝性の希少疾患」)の治療薬として、「SPINRAZA」がある。

出所:会社資料より筆者作成

新薬の開発(パイプラインの充実)

出所:会社資料より筆者作成

 バイオジェンも研究開発を重視しており、継続して年間2,000億円以上を研究開発費として使っている。また、研究開発費の売上高比率としても継続して22%を以上を研究開発に投じている。この結果、パイプラインとしては、フェーズ1が10本、フェーズ2が7本、フェーズ3が10本となっている。

出所:会社資料より筆者作成

 今回注目されているのは、エーザイと共同開発しているレカネマブ(アルツハイマー型認知症の治療薬)である。現在フェーズ3の治験(臨床試験)を実施中である。フェーズ3は多数の患者を対象として、有効性と安全性を確認する試験である(パイプラインのフェーズについては、下記を参考)。フェーズ3の後は、承認申請し、審査結果を待つだけとなる。

 レカネマブについて、今回の試験では1,795人と対象に治験を行っており、主要項目のほか、全ての重要な副次評価項目についても、統計学的に有意な結果(レカネマブは病気の進行を27%遅らせている。)が得られたと、エーザイが発表している。ロイターの記事によると、ジェフ・カミングス博士(ネバダ大学ラスベガス校トランスフォーマティブ神経科学チャンバーズグランディセンター)は「病気の進行を約30%遅らせることができれば、素晴らしいことだ」と述べたとのこと。つまり、画期的ではないが、大きな進歩があったということである。

 この点前評判どおりで、何か変化があったというものではないと考えているが、市場は大きく評価している。これは、アルツハイマー型認知症を根治する治療薬が開発されていないため、病気の進行を遅延させる薬でも、充分に価値のあるものということである。

 ただし、厚生労働省や※FDA(食品医薬品局)で承認されたというものではないには注意したい。以前も、エーザイとバイオジェンで共同開発し、フェーズ3まで進んでいたアルツハイマー治療薬の「アデュヘルム」の開発を断念していることも念頭においておいた方が良いだろう。レカネマブについては、FDAから優先審査指定を受けており、審査終了目標日は2023年1月6日に設定されている。

売上成長率や利益率

 売上は2019年をピークに減少傾向である。この点、治療薬を要する患者が減っているのではないことが、下の図を見て頂ければ分かる。多発性硬化症(MS)の患者(Patients)は若干減少しているが、脊髄性筋萎縮症(治療薬「SPINRAZA」)の患者は増加している。このデータから分かることは、コロナの影響で病院に行けない方がいた影響の可能性もあり、売上の減少については多少割り引いて考える必要があると思われる。

出所:会社アニュアルレポートより

ただし、コロナが落ち着いた2022/1Q、2Qの売上成長率もそれぞれ前年同期比▲6.0%、▲8.1%となっているのは心配な点である。

 売上総利益率は安定して高い位置を維持している。2018年から2020年は86%となっており、2021年に80.8%、2022/1Qに70.2%、2022/2Qに76.4%と若干低下傾向はあるが、他社と比較しても高い利益率を維持している。

出所:会社資料より筆者作成

株価推移と配当

 株価の推移を見ると、とても興味深いことが分かる。まず、PERについては、2022年9月28日に40%の暴騰後でも26倍程度である(前日は18倍)。また、業績は過去5年間ほとんど変化はないが、株価は低位推移中である。しかも、9月28日に暴騰した後でも、上がっているのが分からないくらい低い位置に放置されている。エーザイについてもストップ高となっているように、市場は今回の発表を好感している。

 現状では、配当の支払はない。時価総額は4兆円程度であり、製薬企業としては中堅クラスに位置している。

出所:楽天証券ツールより筆者作成、週足5年間

 レカネマブの承認については不明であり、新薬の価格は不明であるため、売上や利益にどの程度寄与するかは不明であるが、期待値込みで考えると、200ドル台であれば投資妙味はあると思われる。アルツハイマーの治療薬が承認されれば、社会的意義は大きく、人類にとってもまた一つ課題が解決されることになる。ただし、新薬の開発は若干ギャンブル性(株価としては)があるため、その点は留意が必要である。

おわりに

・最後まで、お読みいただきありがとうございます!
 ヘルスケアセクター他、他の企業も分析していますので、他の
 記事も寄ってもらえたら嬉しいです。

・この点を申し少し細かく検討して欲しいや、
 他の企業を分析して欲しいなどありましたらお気軽にお問い合わせください。

・米国株の分析をしているので、お好みの個別銘柄と出会えたら幸いです。
 
・個別銘柄の記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました