はじめに、なぜ今クリーンエネルギー銘柄なのか
カーボンニュートラルやSDGsなど、環境配慮が叫ばれて久しいですが、2022年8月に、バイデン大統領が署名し「インフレ抑制法案(Inflation Reduction Act of 2022)」が成立しました。今回、注目するのは「エネルギーの安全保障と気候変動」の分野で、税額控除や補助金等を通じて、エネルギー関連に36兆9,000円億円の投資が行われること。
特に36兆9,000 億円のうち 43%に相当する16兆300 億円がクリーン電力に対する税額控除となっている。さらに、クリーン電力の導入を支える製造業への支援も手厚く、太陽光パネル、風力、蓄電池などの施設製造に対して、10年間で4兆300億円の税額控除が行われる。このため、クリーンエネルギー関連に10年間で総額20兆円規模の税額控除が行われることとなる。クリーンエネルギー分野にとっては、相当な追い風となり、この20兆円を活用しようと、さっそく各企業が動き始めている。
半導体業界も同様であるが、国策、特に米国の国策でサポートされる業界は黙っていても成長すること間違いない。そのため、銘柄選定とエントリータイミングさえ間違えなければ(クリーンエネルギー関連は赤字の会社も多い)良い結果を生むので、楽しんで銘柄選定をしていきましょう。
※決算書等と比較しやすいように、1ドル=100円で記載しています。
1.ネクステラ・エナジー(風力発電)
ネクステラ・エナジーは、風力や太陽光などの再生可能エネルギーで世界最大の発電事業者であり、蓄電池の世界的リーダーである。現状は天然ガスの割合が多いものの、太陽光発電、風力発電、蓄電池への投資を大幅に増加させており、再生可能エネルギーの割合を増加させている。
【ネクステラ・エナジーの基礎情報】
- 時価総額:16兆4,137億円
- 売上高:1兆7,069億円
- 当期純利益:3,573億円
- PER:46倍
- 1株当たり配当:1.54ドル
- ティッカーシンボル:NEE
【ネクステラ・エナジーの株価推移】
【ネクステラ・エナジーのポイント】
- 27年間増配を継続させている配当貴族指数構成銘柄の一員である。
- 配当利回り1.9%程度+2022年売上成長率30%超
- 堅実な業績と盤石な財務体質がある。
- クリーンエネルギー投資に年間1兆円を投資している。
2.エンフェーズ・エナジー(太陽光発電)
エンフェーズ・エナジーは、単なる太陽光発電装置会社ではなく、太陽光発電と蓄電を統合した太陽光発電システムの開発と製造を行っている会社である。また、太陽光発電、蓄電、通信を1つのプラットフォーム(「The Enphase App」というアプリ)で管理して、ユーザーが発電を楽しめるシステムを提供している。またマイクロインバーターの導入により、発電効率を大幅にアップさせることに成功している。
【エンフェーズ・エナジーの基礎情報】
- 時価総額:3兆8,419億円
- 売上高:1,382億円
- 当期純利益:145億円
- PER:278倍
- 1株当たり配当:-ドル
- ティッカーシンボル:ENPH
【エンフェーズ・エナジーの株価推移】
【エンフェーズ・エナジーのポイント】
- 太陽光発電に特化している。
- エンフェーズ・エナジーのみならず、消費者も税優遇を受けられる。
- 業界優位性がある(マイクロインバーター、アプリ、蓄電)。
- 2017年に営業黒字、2018年に営業キャッシュ・フロー黒字を達成し、以後継続
3.リンデ(グリーン水素)
世界最大の産業用ガスおよびエンジニアリング(プラントの設計・製造)会社である。会社全体に占める水素関連の割合は大きくないものの、水素関連売上は約2,000億円(全体の1割程度)となっており、水素プラントを拡充している段階である。世界初の高純度水素貯蔵タンクと約1,000キロメートルのパイプラインネットワークがあり、米国最大のグリーン水素生産者である。
【リンデの基礎情報】
- 時価総額:13兆6,587億円
- 売上高:3兆,793億円
- 当期純利益:3,826億円
- PER:37倍
- 1株当たり配当:4.24ドル
- ティッカーシンボル:LIN
【リンデの株価推移】
【リンデのポイント】
- 営業利益率18%と潤沢な営業キャッシュ・フロー
- 10%の売上成長率と増配+10%を継続
- 2018年の合併により業界再編を加速
- 産業ガスは半導体(TSMC)を始めとして、様々な業種へ提供されており、ネットワークを活かすことができる。
4.テスラ(EV車)
世界で最も売れている電気自動車(EV車)を製造している会社である。EV車の製造から、販売、サービスなどとてもユニークな戦略を取っている。部品点数を少なくし製造コストを下げ、販売は直販(代理店を通さない)で、充電はエネルギーチャージャーを自ら設置(ガソリンスタンドが不要になる)しており、テスラは車業界に革命を起こしていると言っても過言ではない。なお、テスラも子会社のソーラーシティを通じて、家庭⽤蓄電池の「パワーウォール」や太陽光パネル、産業⽤蓄電システムも開発している。
【テスラの基礎情報】
- 時価総額:90兆4,288億円
- 売上高:5兆3,823億円
- 当期純利益:5,524億円
- PER:176倍
- 1株当たり配当:-ドル
- ティッカーシンボル:TSLA
【テスラの株価推移】
【テスラのポイント】
- テスラのEV車を購入することで、消費者は最大11,500ドルの税控除を受けることができる(米国外のメーカーが反発している)。
- バッテリー生産を米国で行うことで、クリーン技術製造施設の投資税控除を受けることができる。
- 脅威の営業利益率14.5%(トヨタは9.1%)
- ギガファクトリー(製造工場)が現在4つから7つへ拡充中で成長余力あり
5.おまけ(クリーンエネルギーETF:ICLN)
個別株は、倒産や上場廃止の危険性があるので、投資したくないという方は、クリーンエネルギー関連の株に分散投資されているETFもあります。ただし、分散投資のETFだからと言っても中身を見ないで投資して良いというわけではないので、中身を確認頂くことが良いかと思います。ここではICLNを紹介しておきます。
【ICLNのポイント】
- S&Pグローバル社が選定して97社で構成されいてる。
- 時価総額が小さい成長企業で構成されている。
- 本拠地が米国以外の企業も多い
まとめ
- ネクステラ・エナジー(風力発電)
- エンフェーズ・エナジー(太陽光発電)
- リンデ(グリーン水素)
- テスラ(EV車)
- クリーンエネルギーETF:ICLN
おわりに
・最後まで、お読みいただきありがとうございます! ・お好みの個別銘柄と出会えたら幸いです。 ・個別銘柄の記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。
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