ヤバいシリーズ第3弾:FTX破綻で学ぶ詐欺から身を守る方法

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投資の基礎、その他
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はじめに

 投資というと、危ないと感じる方もいると思いますが、それを助長させてしまうような事件が今回のFTX破綻でした。100万口座とも言われる顧客の資産が引き出せない状態で、FTXジャパンの顧客も影響を受けています。

 なぜ、こんなことになってしまったのか。また、今後同様の詐欺事件に引っかからないようにするにはどの様に行動すれば良いか検討していきたいと思います。

 【ここに注目】

  • 怪しい中小企業には近づくな
  • 従業員持株会には近づくな給与や報酬をストックオプションで受け取るな
  • 銀行や証券会社が破綻した際に守られている部分は?盲点あり
  • 仮想通貨界隈の出資者

FTXの詐欺と破綻とは

暗号資産の錬金術

 まず、どの暗号資産も同様だか、ほとんどの暗号資産には、価値の裏付けがないと言われている。例えば、金(ゴールド)などは現物資産の価値の裏付けがあるが、暗号資産は現物資産の価値の裏付けがないため、無価値と言われている(異なる考え方もある)。この暗号資産に価値があるようにマーケットメイク(価格決定)して、取引所で交換させることで、価値を生み出すことで価値を創出している。つまり、無価値から価値を創出してしまっており、近代の錬金術と言える。ただ、暗号資産の価格は上下を繰り返し、上昇しているため(と思い込んでいる)、資金が集まり投資の対象となっている。暗号資産は、以前のチューリップ、絵画、ゴルフ会員権などの投機商品と似ており、個人的にはこれは投資ではなく投機であるが、そこは考え方次第だろう。

 投機であり、価値がゼロになってしまうリスクはあるものの、暗号資産の創出と、その取引については何ら問題がないが、今回のFTXは何が問題だったのだろうか。

FTXの詐欺①

 FTXは、暗号資産などを取り扱う(交換する)取引所である。①この取引所が自分でFTTという暗号資産を作りだした。この時点ではFTTは無価値である。②このFTTをアラメダリサーチに渡し、アラメダリサーチがマーケットメイク(価格決定)し、無価値であったFTTに価値を付けた。なお、アラメダリサーチは、トレーディング会社である。この取引だけを見ると何の問題もない。

 ただし、FTXとアラメダリサーチはグループ会社であり、FTXのCEOサムバンクマンフリード氏とアラメダリサーチのCEOキャロライン・エリソン氏が(元)恋人関係であった。つまり、コントロールできる会社が付けた価格が信用できるものではないことが問題であり、ここで、最初の詐欺が行われてしまった。ただし、この最初の詐欺は、どの暗号資産でも行われていること(と想定する)である。

FTXの詐欺

 さて、最初の詐欺で、無価値だった暗号資産のFTTに価値が創出されて、この暗号資産を取引所のFTXで取り扱うことで、個人も含めた投資家がFTTを購入することで、FTXに多額の資金が流れこみ、FTXは初めて現物の資産を手にすることとなった。繰り返しになるが、これはどの暗号資産でも同様のスキームである。

 通常の取引所であると、顧客の資産は区分し保全しなければならないが、FTXは顧客の資産に手を付けて投資などを行っていた。

FTXの詐欺③

 さらに、高い金利(7%以上とも言われている。)を支払う約束をすることで、金融機関や投資家から資金を集めた。ただし、その担保となる資産はFTTを含む暗号資産であったり、顧客の資産であった。この金利の支払は現実的ではなく、いわゆるポンジスキームと言われるもので、高い金利には裏があるというものだ。

なぜ、詐欺が露見してしまったのか?

 FRBの金利引き上げ、金融引き締めにより、市場の資金が回収されていく中で、暗号資産の価値も下落する過程で、FTXの資金繰りに懸念が生じてしまったことが、今回の破綻の一因である。ただし、この話にはさらに裏があると考えている。

サムバンクマンフリード氏とは

  よく中小企業やベンチャーに投資をする際に、社長を見てから投資せよという鉄則がある。サムバンクマンフリード氏(以下、「SBF氏」と言います)とは、さも悪人という人物ではなく、白馬の騎士とも称される人物であった。

 SBF氏のご両親は、米スタンフォード大学の教授であり、SBF氏もMIT(マサチューセッツ工科大学)を卒業しており、いわゆる良いとこのお坊ちゃんである。SBF氏は、暗号資産の裁定取引で財をなし、ビリオネアとして知られていた。また、SBF氏は、飾らない人柄、ビーガン、Tシャツで過ごすといったカジュアルな服装を好んでおり、派手な生活とは一線を画していた。

 このように、清貧に見えるSBF氏には、セコイアキャピタルやソフトバンクなどもFTXに出資するほどであった。特に、FTXが取引所として人気を集めたのが、先物などプロ向けの商品を多数扱っていたことであり、暗号資産市場では取引所としてバイナンスに次ぎ第2位の地位になった。

チャンポン・ジャオ氏とは?

 人柄も良く、生活も派手ではないSBF氏と対象的に扱われていたのが、中国系カナダ人のチャンポン・ジャオ氏(以下「CZ氏」と言います)であった。CZ氏は、バイナンスの創業者であり、各国の規制当局の許認可を得ないまま、無許可でサービスを提供し、警告を受け新規口座の開設を停止するなど、破天荒経営で知られている。

 CZ氏の父親は大学教授であったが中国から追放され、CZ氏がアルバイトで家計を支えるなど、CZ氏は、いわゆる苦労人である。CZ氏は、2017年にバイナンスを立ち上げ、2018年には業界最大手にしているので、その経営手腕は確かなものなのであろう。 

SBF氏とCZ氏の関係

 今回の、FTX破綻の一つの引き金になったのが、FTTの暴落であるが、その暴落は2つの要因からなっている。1つ目は、このCZ氏が「ニュースを受けてFTTを売却する予定だ」とツイートしたことである。バイナンスはFTTを大量に保有しており、ここが売却すると、価値が暴落するため、これに焦って投資家が投げ売りしたことが原因である。2つ目は、マーケットメイクしていたアルメイダリサーチが、バイナンスが売却したとしても、FTTを買い支えると発表したまでは良かったが、買い支えられる価格水準を示唆してしまい、マージンコール(追証)が発生するところがバレてしまった。これを受けて、さらに投資家が投げ売りしたことで、FTTは暴落してしまった。

何が問題か?

 なぜ、CZ氏はFTTを売却することになったのか。もともと、バイナンスとFTXは良好な関係にあり、バイナンスはFTXが創業した2019年に出資していた。そして、その際のFTXの株式をFTTに変えて2021年にイグジットしたのである。

 ここで言えるのは、FTXの株式は無価値となった。FTTはそこそこの価格となっており、CZ氏は売り抜けた。これは、勝手な想像であるが、バイナンス(CZ氏)がFTXの株主であったことから、FTXの資産構成(2021年当時)を知る存在であった。つまり、CZ氏は、FTXがボロボロの会社であることを知っていたことになる。2021年にイグジットしており、2022年11月とは期間は空いているものの、直接的なインサイダー取引ではないが、大きな構図でみるとインサイダー取引であろう

 バイナンスがFTXを買収するという話も一日で流れた。もちろん、FTXがボロボロであったこともあるが、FTXがなくなれば、顧客をさらに独占することができるので、買収して取り込もうが、FTXが破綻し顧客が流出した後から取り込もうが関係ないことなのであろう。

次のページでは、今回の事例から学べるコト(どうすれば守れるか)を記載しています投資全般に使えることなので、良かったらどうぞ

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