はじめに
今回は、半導体セクターにおいて、EV車を支えているオン・セミコンダクターを紹介したいと思います。パワー半導体分野においては、世界2位となっています。
ここに注目】
- 各事業の概要と、今後注力する事業(EVや脱炭素エネルギーが追い風)
- EPSの成長と株価の推移(他の半導体企業との違い)
- SiC(炭化ケイ素)半導体の省電力性能(2022年8月稼働)
※決算書と比較しやすいように、1ドル=100円として記載しています。
どんな会社?
オンセミコンダクターは、パワー半導体やイメージセンサー等を、自動車、産業機器、通信、コンピューター等に提供する企業である。製品は、自動運転、先進運転支援システム、車両電動化、自動車の電子部品の導入増加、産業自動化、エネルギーインフラ、クリーンエネルギー等の電力変換等の分野で需要が増えている。
もともとは、モトローラの半導体部門(1948年創設)がオンセミコンダクターの起源で、1999年にモトローラから分離して設立された。2016年にフェアチャイルドセミコンダクター社を買収し、今の形となっている。なお、2022年6月にS&P500指数に仲間入りしている。
事業は①パワーソリューショングループ(PSG)、②アナログソリューショングループ(ASG)、③イメージセンサーグループ(ISG)の3つに区分されている。会社の売上の50%超を占める①パワーソリューショングループ(PSG)のパワー半導体は、ドイツのインフィニオン・テクノロジーズについで世界で2位となっており、市場の10%程度をカバーしている。
各事業と売上推移
①パワーソリューショングループ(PSG)
①PSGはパワー半導体が主たる製品となっている。パワー半導体は電力スイッチ、交流電源(AC)と直流電源(DC)との相互変換、アナログ信号調整、回路保護、電圧調整、ACの周波数変換等の機能を有している。電源から来る電流を、電子部品などが動くために必要な強さや種類に変換でき、白物家電、自動車から産業機器まで、幅広い製品に使われている。環境対策や、米国のインフレ法案などの政策や自動車産業の投資等で普及しつつある電気自動車(EV)では、高電圧の電流を駆動系部品が必要とする強さに効率良く変換する上で、パワー半導体が中核的役割を担っている。この電気自動車(EV)の生産増加に伴い、①PSG事業の売上も増加している。太陽光発電や風力発電でもこのパワー半導体が大きな役割を担っている。
オンセミコンダクターは、このパワー半導体において世界2位であり、会社としてもこの分野に注力することを謳っており、2025年までに年間成長率7-9%を維持することを目標としている。ただ、上記の売上の増減を見て頂ければ分かるが、この目標は低いと言える。過去の推移と市場環境を考慮すると、筆者はさらに増加すると想定している。なお、実績も堅調で、この数年はしっかりと右肩上がりの成長を遂げている。
②アナログソリューショングループ(ASG)
②ASGはアナログ半導体が主たる製品となっている。アナログ半導体は、音声、視覚(映像)、温度、圧力などに代表される実世界の現象であるアナログ信号を、電子機器でデジタル制御できるようデジタル・データに変換する半導体である。ASGでは、自動車用LEDヘッドライト向けが強いとされている。①PSGほどではないが、順調に売上を伸ばしている。
③イメージセンサーグループ(ISG)
③ISGはデジタルカメラの目として光を電気信号に変換するイメージセンサーを主力としている。イメージセンサー、近接センサー、イメージ信号プロセッサー、単一光子検出器、オートフォーカス/画像安定化のためのアクチュエータードライバーを設計・開発し、車載カメラ向けで高いシェアを誇っている。
次のページでは、各種指標の検討、セミコンダクターの新製品、株価について検討しています。
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