22/3Q/半導体×EVのオン・セミコンダクター(ON)を徹底解説/公認会計士によるここだけの分析

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米国企業の解説
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各種指標の検討

営業利益率

出所:会社資料より筆者作成

 COVID-19関連で活況だったコンピューター関連の半導体は供給不足が解消され、若干在庫がある状態になってきている。一方、パワー半導体については、まだ供給不足が解消されておらず、売り手優位の状態が継続している。この状態が営業利益率に現れており、2020年以前の営業利益率は高くて14%程度であったが、2021年以降は高い水準を維持している。2022/1Q及び2Qと比較すると2022年3Qは若干落ち着いてきているが、それでも19%となっている。

営業キャッシュ・フロー

出所:会社資料より筆者作成

 営業利益は黒字であるが、営業キャッシュ・フローが赤字となっている企業もあるが、オンセミコンダクターにおいては、営業キャッシュ・フローも黒字である。特にその額は四半期毎に大きくなっており、本業でしっかりと稼げており、この点は問題ないだろう。

不採算部門の閉鎖

 2022年9月にWi-Fi向けの「Quantenna Connectivity Solutions」事業から撤退すると発表されている。当該事業の閉鎖に当たり、減損等の費用が出ているため、2022/3Qの営業利益率は低いが、営業キャッシュ・フローが他の四半期と比べて大きくなっているのが、この影響である(損失は出るが、キャッシュアウトがない)。この撤退を受け、車向けと産業向けに注力するとされている。

SiC(炭化ケイ素)半導体で省電力で強み

 各種製品のモーターを制御するインバータは、パワー半導体が中核部品となっている。インバータは、白物家電、電気自動車、産業機器等のモーター回転数を調節することで、消費電力を節約できる。この点、EV車の駆動モーターを制御するメイン・インバータでは、中核部品である高電圧パワー半導体の電流変換効率が、EV車の航続距離を左右する。蓄電池の性能とともに、インバーターも航続距離を延ばすために重要な部品であり、オンセミコンダクターは、EV車のメイン・インバータ用パワー半導体に強みを持っている。

 EV車のメイン・インバータ用では、現在広く使われているシリコン製よりも省電力性が高く、高電圧への耐性も優れているSiC(炭化ケイ素)を使ったパワー半導体が注目されている。最新のSiC半導体工場は2022年8月に完成している。この工場の稼働開始により、SiC半導体の生産能力が大幅に増加し、売上も大幅に増加することが想定されている。

 なお、工場の稼働初期費用が2022/3Qに含まれていることも、3Qの営業利益率を押し下げている要因となっている。そのため、しばらくすると、再度営業利益率も20%を優に超える数値となるだろう。

株価について

出所:楽天証券ツールにより筆者作成

 他の半導体セクターの株価は冴えない状況である。ただし、このオンセミコンダクターについては、2020年3月に底を付けてから、右肩上がりに成長している。これは、下の図のEPSの推移を見て頂ければ納得だろう(株価=EPS×PER)。

出所:会社資料より筆者作成

 なお、2022/4QのEPSについては、会社発表のガイダンスでは、$1.18 から$1.34とされている。2022/2Q、3Qからは落ちることとなるが、上記の減損と新工場建設の影響のため、一時的な落ち込みであることが想定されている。

 株価のみに着目すると、上昇しきっており、割高であるように見える。ただし、PERで見ると、2020年及び2021年のPERは50倍程度であり、現在は30倍程度であることを考えると、そこまで過大に評価されているとは言えない。これに加えて、営業利益を押し上げる新製品の工場が2022年8月に稼働したことを考えると、まだ買っていっても良い水準と思われる。EV車や脱炭素エネルギー銘柄を購入するのも良いが、これに関連する部品メーカーのオンセミコンダクターも投資妙味がある

おわりに

  • 最後まで、お読みいただきありがとうございます!
  • この点を申し少し細かく検討して欲しいや、 他の企業を分析して欲しいなどありましたらお気軽にお問い合わせください。
  • 米国株の分析をしているので、お好みの個別銘柄と出会えたら幸いです。
  • 個別銘柄の記載がございますが、投資は自己判断と自己責任でお願いいたします。

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