(2023最新)テスラの3分解説/営業利益率と株価の展望

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はじめに

 2023年4月に通算6度目の値下げを行った結果、営業利益率が大きく下落したことを受けて、株価は1日で10%下落しました。テスラの躍進はここで終わってしまうのか、それとも一時的な調整なのか、検討していきたいと思います。

【ポイント】

・なぜteslaは値下げしているのか?

・営業利益率が低下しているが、今後はどのように推移するのか?

出所:会社資料

決算書と比較しやすいように、1ドル=100円として記載しています。

営業利益率の推移

 下図はteslaの公表数値です。右の図が営業利益率の推移で、直近の2023/1Qでは、営業利益率が11.4%(赤の線)となってしまっています。これは明らかに、値下げの影響が出ています。ただし、他の車メーカーの営業利益率(灰色の線)と比較するとどうかというと、依然として優位性があることには変わりがありません。なお、フォードの5年間平均の営業利益率は2%、GMの営業利益率は6%となっている。このため、車メーカーの株式を購入するのであれば、teslaがオススメであることには変わりはありません。 

出所:会社資料

 EV市場の競争が激化しており、値下げを余儀なくされているという報道もありますが、この点については、筆者は全く懸念しておりません。tesla(イーロン・マスク氏)は、現在、価格、車両の売れ行き、株価の均衡点を探っている段階です。teslaは現在地で株主を満足させるような結果を出すのではなく、長期的な視点でteslaがどのように成長するかを見据えた戦略を打ち出しています。価格と株価の均衡点について探っている様子は、決算が発表され、値下げを継続すると示唆した段階で4月20日に株価が10%超下落しました。翌4月21日に、モデルSとモデルXについて、一転2.6%の値上げを発表しました。これを受けて4月21日の株価はほぼ横ばいの動きとなりました。

 インフレ動向に合わせて、2022年の3度の値上げから、2023年にかけて6度の値下げと、ある程度市場動向に合わせて価格を変動させることができることもteslaの強みと考えることができます。他のEV車メーカーは大きな赤字を継続している会社がほとんどです。teslaが値下げすることで、値下げ競争を強いられた場合、他のEV車メーカーが淘汰されていくものと考えます。

 みなさん、お忘れかもしれませんが、営業利益がプラスになったのは、2020年に入ってからです。teslaはまだまだベンチャー企業で、成長余力があるため、営業利益率を向上させる仕組みはたくさんあるので、これからもteslaの成長を楽しんでいきましょう。

ロボットの導入で営業利益率倍増!?

 営業利益率をUPさせるには、売上を伸ばすか、製造原価を下げることが考えられます(営業利益=売上ー製造原価ー営業コスト)。売上は、①販売台数×②価格であって、①の販売台数は目標を達成できるのか?との疑問が出ています。また②の価格も値下げで苦戦を強いられています。このため、teslaの成長が難しいと判断されてしまっています。果たしてこの判断は正しいのでしょうか。

 teslaは、製造コストを半分にする目標を立てています。もちろん目標なので達成できるか分かりませんので、あまり株価には材料視されていませんが、実現可能性は高いと考えています。teslaを含めEV車は部品点数が少ないことから、現状においてもかなり製造過程を簡素化させて自動化させていますが、これがさらに加速すると考えています。

出所:会社資料

 上の画像は、teslaの工場の様子ですが、まだ多くの人が働いている様子が見えますね。これが完全自動化されたらどうでしょうか。人間の稼働時間には限界がありますし、労使関係も問題も頻出していますが、工場がロボットに置き換われば、ローコストのEV車が製造できるようになります。他の製造業が徐々にロボット製造に置き換わっているのと同様に、teslaの工場もほとんど人がいない工場ができる日も近いです。

 まとめると、teslaの工場が完全自動のロボット化されることで、製造コストが半減し、営業利益が倍増することを意味しています。

teslaの今後

 teslaは、なぜ値下げしてでも、販売を加速させようとしているのでしょうか。もちろん年間販売台数を達成することもありますが、teslaのシェアをいち早く広げて、EV車で圧倒的な地位を確立することを目指しているからです。2020年に黒字化できたのは、排出権売上の寄与があったことは否定できませんし、利益の源泉が排出権売上のみなのではないかという懸念からS&P500への採用が遅れました。ただし、2021年以降、営業利益は右肩上がりとなっています。これは、規模の利益(販売台数、製造台数が増えれば、増えるほど、コストが削減でき利益が増えること)を享受できていることに他なりません。

出所:会社資料

上図の一番下の段がスーパーチャージャー(急速充電器)の数ですが、これが増加すればするほど、tesla車の利便性が高まります。日本でも、EV車の充電場所が不足していることから、まだまだEV車を積極的に使っていこうという機運が高まっていません。ただし、これも時間の問題です。スーパーチャージャーが至る所に設置され、早く充電できるようになれば、tesla車の人気はさらに高まることとなります。

 現在の生活において、必要なものは何ででしょうか。よく衣食住と言われますが、最近はこれに、スマホと電気が加わっていると言われています。電気の問題もteslaは解決(スマートグリッド戦略)しようとしています。ちょっと飛躍しすぎかもしれませんが、トレーラーハウスで暮らしている人を想像してみてください。teslaが自動運転トラックを開発していますが、自動運転のトレーラーハウスが開発されたらどうでしょうか。人によっては住居が不要となりますよね。旅する●●みたいな人が多くなるのではないかと思っています。

 teslaは、単なるEV車メーカーではないと言われ、その未来に賭けて株価が支えられていることもありますが、あながち夢物語ではないと思っています。 

株価の推移

出所:楽天証券ツールにより筆者作成

 EV車がもてはやされたこと、ナスダックがプチバブルになっていたことから、teslaの株価は一時400ドルと上回って推移することもありました。これを考慮しても200ドル以下であれば、割安と考えています。記事を書いている時点では165ドルのため、良い水準であると言えます。ただし、直近で100ドルを付けたことがありました。これはteslaの個別要因というよりは、市場全体の落ち込みにつられて下がってきたことが大きな要因です。

 個人的には、市場全体は、FRBの利下げ停止で上昇、利下げ停止(景気後退)で下落と想定しているため、今時点でtesla株を買い向かうかというと買いません。ただ、短期の上下動を無視して、長期で考えることができる株主は現在の株価水準は買ってよい水準と考えます。

おわりに

・最後まで、お読みいただきありがとうございます!

 teslaの強みや営業利益率を向上させることのできる記事は、下記で記載していて重複してしまうので、興味があれば、リンク先をご覧いただければ嬉しいです。

・この点をもう少し詳しく解説して欲しい、解説して欲しい他の会社などありましたらお気軽コメントください。お待ちしています。

・ブログ内で、個別銘柄の記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。

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