高配当銘柄かつクリーンエネルギー銘柄のネクステラ・エナジーを分析/投資環境、株価と今後を決算の状況を分析

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エネルギーセクター
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現状の業績と今後の見通し

 直近5年間の決算を見ると、売上のピークが2019年の1兆9,204億円、営業利益率のピークが2018年の49.1%となっている。

 売上については、2018年の1兆6,727億円をボトムに、ほぼ横ばいの展開であるが、2022年以降の展望としては、徐々に発電能力を拡充していることと、エネルギー価格が上向いているため、売上については、増加傾向と想定する。

 営業利益率については、徐々に下がってきているが、2021年で底を打ったと考える。2022年2Qは若干であるが上向いてきている。なお、2022年1Qは減損処理などで落ち込んでいるが、一時的な損失のため、通期の数値で検討して良いだろう。

 2018年の営業利益率の49.1%は若干異常値である。理由は、1,111億円の資産処分益が営業費用のマイナスで計上されているからである。この処分益がなかったと仮定すると、営業利益率は42.4%となる。それでも高い数値ではあるが、、、

出所:会社資料より筆者作成

 さて、なぜここまで営業利益率が変動しているのか、その一つの答えが下記の図だと考える。これは税額控除の率を現したものである。PTCとITCの簡単なイメージは、PTCが生産税控除(クリーンエネルギーの生産に対する税額控除)、ITCが投資税額控除(クリーンエネルギー生産設備への投資に対する税額控除)である。

出所:会社決算書より

 この税額控除の恩恵を受けるためには、通常5年以上で償却する太陽光発電の資産を、5年で償却する必要があるため、太陽光発電の建設が進むに従い、減価償却費の負担が大きくなっている(2018年が2357億円、2019年が3,924億円、2020年が4,052億円、2021年が4,216億円)。ただし、これは費用を先に出させていることもあるので、5年以降は減価償却費の負担が軽くなる。そのため、少しずつ営業利益率は改善してくるものと思われる。

 また、営業利益率が変動する要因としては、エネルギー価格の変動の影響がある。石油会社は原油価格に連動しているため、原油価格が60ドルを下回った2020年においては、どの石油会社も営業赤字となっていた。ネクステラ・エナジーも石油会社ほどではないが、エネルギー価格の影響を受けて、営業利益率も変動するが、今後は上向きと想定する。

インフレ抑制法案の恩恵

 そして、クリーンエネルギー関連の分析では散々記載しているが、注目したいのは、やはり下記の点である。2022年8月16日に、バイデン大統領が署名しインフレ抑制法案(Inflation Reduction Act of 2022)」が成立した。今回、注目するのは「エネルギーの安全保障と気候変動」の分野で、税額控除や補助金等を通じて、エネルギー関連に36兆9000円億円の投資が行われることだ。

この36兆6900 億円のうち 43%に相当する16兆300 億円がクリーン電力に対する税額控除となっている。さらに、クリーン電力の導入を支える製造業への支援も手厚く、太陽光パネル、蓄電池などの施設製造に対して、10年間で4兆300億円の税額控除が行われる。このため、クリーンエネルギー関連に10年間で総額20兆円規模の税額控除が行われることとなる。この税額控除が実施で、上の図の率がどの程度変動しているか、営業利益率がどの程度変動したか、継続してウオッチしていきたい。

配当貴族銘柄

 ネクステラ・エナジーは27年間増配しており、配当貴族指数の一つとなっている。配当利回りは2022年9月現在では1.9%程度であるが、ここ5年間だけを見ても配当は毎年10%以上増加させている。

 今後も増配が可能かどうか検討してみる。まず、営業キャッシュ・フローは直近3年間は7,000億円以上の黒字である。投資キャッシュ・フローの大きな支出として、①FPLと②NEERを通して、新規の設備投資を積極的に行っている。その規模は1兆円を超えるものであるが、長期借入金で賄っている。

 現状の借入金は、短期が1,940億円、長期が5兆3,382億円となっている。ここ数年で、固定資産と借入金が大きく増加しているが、風力発電や太陽光発電に投資している結果だろう。流動負債2兆6,821億円に対して、流動資産1兆4,332億円なのが若干気になるが、総負債10兆7,163億円に対して、総資産15兆1,770となっており、バランスは悪くない。

 旧来は、安定した天然ガス事業で配当を出していたが、今後はクリーンエネルギー関連に投資して成長する企業となっており、安定した事業と成長する事業があり、事業ポートフォリオとしては、バランスが良い。そして、配当でインカムゲイン、株価の成長でキャピタルゲインを狙える良い銘柄と思われる。

株価の推移

 10年の月足のチャートを見ると、ネクステラ・エナジーの良さが分かる。大きな値幅はないが、着実に右肩上がりになっている。2020年からSDGsやクリーンエネルギー関連として着目されているため、若干上振れしている感はある。

 電力は必要とされていて、上述のように風力発電や太陽光発電分野では、成長が見込まれる企業のため、大きくはないが右肩上がりの成長は続くと想定される。配当が年10%増加していることも人気となっている一つの理由であると思われる。IT系のような成長が見込まれない反面、株価も落ちにくいため、何かの弾みで下落した時には丁寧に拾っていきたい銘柄である。

 他のクリーンエネルギー銘柄と比較して欲しいのだが、比較的時価総額が大きいエンフェーズ・エナジーでも時価総額は4兆円弱であるが、このネクステラ・エナジーの時価総額は17兆円超となっている。時価総額が大きければ良いというわけではないが、それだけ信認されているということでもある。

出所:会社資料より筆者作成

おわりに

・最後まで、お読みいただきありがとうございます!
 他のクリーンエネルギー銘柄はETF「ICLN」に一覧があります。
 太陽光発電特化のソーラーエッジテクノロジーズ はこちら。

・この点をもう少し詳しく解説して欲しい、優先して解説して欲しい他の会社などありましたら
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