驚異の参入障壁:鉄道セクター時価総額TOP5について徹底検証

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米国企業の解説
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各社経営指標の比較分析

売上高の推移

 各社の売上の推移について、下の図を見てみると、規模の差はあるが、売上の増減に関しては各社揃っており、どこかが大きく伸びているというのはない。また、増減幅も小さく、業績が大きく落ち込むこともない。これは、事業がある程度確立されているため、大きく成長しないことも意味している。

出所:各社決算資料より筆者作成

営業利益率の推移

 各社の営業利益率の推移について、下の図を見てみると、営業利益率も売上と同様に各社ほぼ同水準となっていることが分かる。③CPが若干高く平均で41.7%であり、他社は39%であり、そこまでの差はないと思われる。サラッと営業利益率40%というが、この営業利益率はかなりの高水準である。事業が違うため、単純比較はできないが、teslaはコスト削減がかなり上手く営業利益率は高いとされているが、そのteslaでも営業利益率は14%程度である。

出所:各社決算資料より筆者作成

営業キャッシュ・フロー売上比率

各社の営業キャッシュ・フロー対売上比率の推移について、下の図を見てみると、②CNIは一定して高水準を維持している。一方で他4社は30%前半だったものが、40%超へ伸ばしていることが分かる。平均値は②UNIが一番高く43.2%であり、直近も48%となっている。次いで①UNPが平均39.4%であり、直近が41%となっている。他3社の平均値は38%となっている。こちらも多少の差はあるものの各社高水準である。

出所:各社決算資料より筆者作成

EPSと自社株買い

 EPS(一株当たり利益)×PER=株価となるため、EPSの伸びについて確認してみたいと思う。②CNIが5年前と比較してEPSが減少(▲28%)してしまっている。その他4社については5年前と比較すると増加しており、④CSXが233%、①UNPが172%、⑤NSCが169%、③CPが164%となっている。

出所:各社決算資料より筆者作成

 また、自社株買いについては、規模の差を考慮しても①UNPが突出して金額が多く、株主還元に積極的であることが分かる。

出所:各社決算資料より筆者作成

RTMと従業員数

 輸送業界において、重視される指標の一つにレベニュートンマイル(RTM=Revenue-Ton-Mile)がある。これは、1トンの貨物を1マイルにわたって移動させた場合に得られる収益を示す指標である。この指標は、高ければ高いほど良いとされている。ただし、RTMは経済(景気)と直接関係しており、RTMは好景気だと増加し、景気減速時には減少する傾向もある。

 各社のRTMの推移について、下の図を見てみると、①UNPが突出して高いことが分かる。②CNI、④CSX、⑤NSCは概ね同水準で、③CPは若干低水準となっている。

出所:各社決算資料より筆者作成

 先日主要貨物鉄道会社などで、ストライキ懸念があったため、各社の従業員数の推移についても検討してみよう。下の図を見てみると、①UNPと⑤NSCが大幅に削減していることが分かる。②CNI、④CSXは微減、③CPは横ばいとなっている。ストライキは未遂になったものの、貨物列車労働者11.5万人が参加する1991年以来の大きなストライキに発展する可能性もあった。確かに、インフレで他業種の賃金が上昇している中では、労働者側も強く出れる時期ではあったが、その労働環境も過酷なため、ある程度の配慮が必要なところもある。インタビューによると、1年中24時間365日体制で待機する、1本の列車を12時間運転する、などのコメントもあった。このように、過酷な現場の方も多いため、各社従業員の福利厚生には力を入れていて、他のセクターと比較すると従業員への手厚い保護についてアニュアルレポートで複数挙げている企業が多い。

出所:各社決算資料より筆者作成

次のページでは、合併による鉄道セクターの地殻変動、投資するならどの銘柄?というのを検討してみたいと思います。

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