科学機器最大手/サーモ・フィッシャー(TMO)を3分解説/投資環境、株価、決算の状況を会計士が分析

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ヘルスケアセクター
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ここだけは注意したい点2つ

 まず、中国への売上比率が大きい(米国に次いで2番目)ことだ。2022年2Qでは、1,001億円で全体の9.1%となっている。比率に大きな変動はないが、中国とアメリカの摩擦の結果、輸出が制限されることも視野に入れておいた方が良い。特に精密機械にかかる部分は何があっても不思議ではないため、最悪のケースとして売上の10%はないものと想定しておいた方が、リスク管理としては良いだろう。

 次に、のれんの償却についてだ。2022年の秋にIFRS(国際会計基準)の改訂の検討が行われる。検討議題に上がっているのが、のれんの償却である。現状約4,300億円がのれんとして資産に計上されている。これが一部償却(費用として計上)されることになると、利益に対するインパクトは小さくない。決算書を見ないで業績のサマリーや利益のヘッドラインだけ見ている層が、利益が減った認識として、どのように行動に出るかは想像に難くない(我々は、落ちたところで拾えば良いのだが。)。

株価推移と配当

出所:楽天証券ツールにより筆者作成

 まず、配当は2017年0.6、2018年0.66、2019年0.74、2020年0.85、2021年1.00ドルと堅調に増配させている。4年で66%増とはかなりの増配率である。ただし、配当利回りは0.2%であるため、現状では配当にそこまで期待しない方が良いだろう。

 時価総額は2022/10時点で20兆2千億円となっている。PERは過去5年間は30倍から35倍の間で推移しているため、現状の25倍程度は割安と思われる。

 ニッチではあるが、サーモ・フィッシャーの機器やサービスは必須で、製品やサービスには優位性があり、参入障壁も高い業界である。世界人口増かつ寿命が延びているため、ヘルスケア業界は加速度的に需要が増えると想定される。新薬の開発は相当程度ギャンブルであるが、そこは製薬企業に任せ、その他の部分を全てカバーしているという点が、サーモ・フィッシャーの面白いところである。ヘルスケアセクターは伸び、その中で強みを有し、堅実に成長するサーモ・フィッシャーが、PER20倍台であれば、投資妙味はあると思われる。

おわりに

・最後まで、お読みいただきありがとうございます!
 ヘルスケアセクター他、他の企業も分析していますので、他の
 記事も寄ってもらえたら嬉しいです。

・この点を申し少し細かく検討して欲しいや、
 他の企業を分析して欲しいなどありましたらお気軽にお問い合わせください。

・米国株の分析をしているので、お好みの個別銘柄と出会えたら幸いです。
 
・個別銘柄の記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。

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