はじめに
株式の上昇・下落が見通せない中で、債券投資の重要性が叫ばれています。またポートフォリオの40%は債券にした方が良いという戦略もあります。そこで、債券投資を検討されている方も多いと思います。
ただ、債券というと、数%の利率と、価格の値幅も20%程度と株式と比較するとリターンが若干見劣りするのも事実です。ただし、株式が乱高下する中では落ち着いた値動きと、国や企業が破綻しない限りゼロになる危険性もないため、ディフェンシブな投資としては人気があります。
私も、ながらくポートフォリオには債券を入れていますが、発行元が企業や新興国の債券はデフォルト(価値がゼロ)となる可能性も高く、米国債券のみに投資しています。その米国債券のレバレッジ商品が、今回紹介する「TMF」となります。おそらく債券投資としては10年に一度のチャンスかと思っています。
今回は、下記を紹介したいと思っています。
- どんなETFか?
- チャートはどんな推移か?
- リスクは?
- 購入する場合の戦術は?
どんなETF
債券ETFの「TMF」は、ディレクション・デイリー20年超米国債ブル3XETFという商品で、20年超の米国債に3倍のレバレッジをかけて投資するものです。その魅力は下記となります。
- トリプルバガーが狙える(価チャートと一緒に説明します)
- 金利低下局面で大きなリターンが期待できる
- 株式との相関が低い
- 資金効率が高い
金利低下局面で大きなリターンが期待できます。TMFは、金利が下がると債券価格が上がるという性質を利用しています。金利が下がると、TMFの価格は大体3倍の割合で上昇します。例えば、2018年後半から2020年前半にかけて、コロナウイルスの影響で金利が低下した時期には、TMFは100%以上のリターンを達成しました。インフレ退治を目標に金利は上昇を続けてきました。インフレも鈍化傾向になり、これ以上の金利上昇は限られてくるのではないかという想定です。
株式との相関が低い。TMFは、株式市場とは逆に動く傾向があります。株式市場が不安定になると、安全資産として債券に資金が流れるためです。そのため、TMFはポートフォリオの分散効果を高めることができます。景気後退懸念が叫ばれているため、リスクヘッジとしては良いかと思います。
資金効率が高い。TMFは、3倍のレバレッジをかけているため、少ない資金で大きなリターンを狙うことができます。また、TMFは配当も支払っており、直近の配当利回りは2%です。金利が上昇する局面ではTMFの価格も下がるため、配当があると少しは慰めにもなるのかもしれません。
チャート
2023年6月末時点では、8ドル付近に位置しています。金利が低下すると値上がりするようになります。金利低下は2024年初頭と見込まれています。株式市場はプライシングが誤ることが多いのですが、債券市場は株式市場よりも市場が大きいこと、参加しているトレーダーもプロがほとんどということで、概ねプライシングが誤ることは少ないと言えます。
株式市場、雇用が堅調に推移するのであれば、利率は思ったより下がらず、TMFの魅力もないと言えます。ただし、2022年~2023年の急な金利上昇で様々なところに歪みが出ている影響で、少なくとも小さい景気後退が来るというのがメインシナリオです。この場合、金利低下に伴って、TMFの価格は30ドル付近に上昇することが想定されます。
仮にですが、リーマンショックやコロナショックのように、大きなショックが来た場合、金利を急低下させるため、TMFも50ドル以上となります。これはあまり想定していないので、TMFホルダーとしては超楽観シナリオです。
一方で、インフレ鈍化が想定より遅れ、さらなる金利上昇となった場合は、TMFは下落するので、損失が発生することとなります。確率としては10%程度かと考えています。確かに、家賃や人件費のインフレがしつこくなかなか落ち着いていない現状はあるものの、地銀や商業不動産、中国のデフレなどを加味するとインフレは緩やかに落ち着いてくると考えています。
リスクは何か
- 金利上昇リスク
- レバレッジリスク
- 逓減リスク
金利が上昇すると、価格が低下するので、金利が上昇がさらに継続すると想定する場合(あと2回の利上げは概ね債券価格に織り込まれています)は、購入することをオススメしません。
レバレッジ商品のため、価格が大きく動きます。また、レバレッジ商品のため、下落中やレンジ相場のような場合には逓減(価格の目減り)してしまいます。長期保有には不向きとも言われています。リスクをあまり追いかけたくない場合は、「EDV」などのレバレッジがかかっていない商品の方が良いかもしれません。
購入する場合の戦術
まず、エントリータイミングは、8ドル以下を推奨します。金利の落ち着きどころを探っているので、7ドル~9ドル付近を行ったり来たりしています。高い価格でエントリーすると、利幅が取りにくくなるので、7ドル台前半未満で購入するのが良いと思います。まだ2回の利上げ(0.25×2回)が想定されているので、一時的に6ドル未満へ突っ込む可能性もありますが、7ドル台であれば良い頃合いかと思います。
売却のタイミングは、2つ想定しています。①インフレが収まらず利下げ後に、再度利上げとなった場合に、価格によらず売却する。1970年代にインフレとの闘いに負けてかなり金利が上昇してしまった過去があります。このようなストーリーになった場合は、かなりTMFの価格が下落してしまうので、損失が出ても売る必要があると思います(発生確率は3%程度)。②30ドルを超えたら段階的に利確する。景気次第のところもありますが、ゼロ金利までは落とさないと思うので、良い頃合いで利益を確定していきましょう。
期間について。レバレッジ商品なので、一般的には長期保有が推奨されていません。ただ、今回の戦術は1年超の計画になります。2024年初頭からの利下げから利益を乗せて、2025年頃まで引っ張る想定です。金利上昇が恐いorもう少し短い期間で保有したいという方は、景気後退シグナルが出てくるまで様子を見て、そこからエントリーするのでも良いかと思います。
レバレッジ商品で、SOXLやレバナスなどの商品はほとんど薦めないのですが、これは中々面白い商品なので、検討する価値ありです。
私はというと、3,200株を購入しています。特に動かす予定はなく、2025年頃まではホールドの予定です。ゼロ金利発動となった場合は、急上昇したタイミングで全売却の予定です。
ちょっとおまけ(難しいので飛ばしてもOK)
TMFはドル建てで購入する商品のため、ドル円について補足します。TMFは金利が低下すると価格が上昇する商品です。一方で、ドル円は金利が低下すると円高となります。つまり、TMFとドル円は相性が良くありません。仮に1,000株購入した場合を以下にシミュレーションしてみましょう。
①購入時:1,000株×8ドル(TMF価格)×145円(ドル円)=1,160,000円
②売却時:1,000株×30ドル(TMF価格)×110円(ドル円)=3,300,000円
特に、何も考えなくてもトリプルバガー達成となります(②ー①=2,140,000円)。ただし、ここでドル円をドルベースに固定(FXなどでヘッジ、又はドルで再投資)した場合どのようになるのでしょうか。
②’売却時MAX:1,000株×30ドル(TMF価格)×145円(ドル円)=4,350,000円
この場合、②’-①=3,190,000となり、おそよ4倍となります。現状のドル円は少し高い水準で、今後円高となる確率が大きいので、私はヘッジしていますが、細かい調整をしなくても、大きく利益は取れるので、そのままTMFを購入するのでも大丈夫です。
おわりに
・最後まで、お読みいただきありがとうございます!
・この点をもう少し詳しく解説して欲しい、解説して欲しい他の会社などありましたらお気軽コメントください。お待ちしています。
・ブログ内で、個別銘柄の記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。
・シロクマ会計士で、Twitterもしています。記事が気に入っていただけたら、Twitterでいいねやコメントもらえると、ブログ更新の励みになります。
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