はじめに
2025年現在、日本の社会保障制度は大きな転換点を迎えています。少子高齢化が進み、医療費や介護費用の増加が現役世代の負担を圧迫する中、厚生労働省は新たな財源確保策として「75歳以上の後期高齢者医療制度における金融所得への社会保険料徴収」を検討しています。これまで株式譲渡益や配当金は保険料算定に反映されにくい仕組みでしたが、今後はより厳格に反映される方向です。本記事では、その制度の概要と投資家が取り得る対策について詳しく解説します。なお、現状では、75歳以上が対象ですが、一度このような制度を許すとどんどん年齢を下げて、侵食してくるので、反対の声を挙げていきましょう!(消費税も3%→10%)
制度改正の背景
下記、色々な事情はあるのかもしれませんが、端的に言うと、取りやすいところから徴収しましょうってことですね。
- 高齢者医療費の増加:75歳以上の医療費は一人当たり年間約100万円を超える水準に達しており、現役世代の保険料負担が限界に近づいています。
- 金融所得の「未申告優遇」問題:
現行制度では、確定申告をしない限り株式譲渡益や配当金は保険料に反映されません。そのため、金融資産を多く持つ高齢者ほど保険料負担が軽くなる「逆転現象」が生じていました。 - 公平性の確保:
厚労省は「資産を持つ高齢者にも応分の負担を求めるべき」との立場から、証券会社の法定調書を市町村が確認できるデータベースを創設し、申告の有無にかかわらず金融所得を保険料算定に反映させる方針です。
制度の仕組み(案)
- 対象者:75歳以上の後期高齢者医療制度加入者
- 対象所得:株式譲渡益、配当金、利子などの金融所得
- 除外対象:NISA口座での運用益は非課税のため保険料算定対象外
- 導入時期:2020年代後半から段階的に導入予定
- 徴収方法:証券会社からの法定調書を基に、市町村が自動的に保険料へ反映 つまり、申告していなくても証券会社のデータから勝手に算定されてしまうということ(結構市役所のシステムはザルなので、証券会社をたくさんに分けておけばOKかも、外資の証券会社など)。
社会保険料を抑えるための投資家の工夫
厚労省案が実現した場合でも、投資家は一定の工夫で負担を軽減できます。以下は代表的な方法です。
1.金融所得を上限までに抑える
- 保険料算定には「一定の所得基準」が設けられる見込み(原案は43万円)です。→金融所得が43万円なので、100万円で購入した株式を142万円で売却した場合は、売却益が42万円のため、社会保険料の徴収は免除です。
- その上限を超えないように売却益や配当金を調整することで、保険料負担を最小限に抑えられます。
2.毎年ではなく、数年に一度現金化する
- 毎年譲渡益を発生させると継続的に保険料が増えます。
- 数年に一度まとめて売却することで、負担が発生する年を限定できます。
3.配当金収入を減らす
- 高配当株を減らし、成長株や投資信託にシフトすることで、毎年の配当収入を抑制できます。
- 配当金は安定収入ですが、保険料算定対象になるため注意が必要です。
4.NISAを活用する
- NISA口座での運用益は保険料算定対象外。
- 高齢者でも利用可能なため、非課税枠を最大限活用することが有効です。
5.資産の分散管理
- 株式だけでなく、保険料算定に影響しない資産(不動産、外貨預金など)を組み合わせることで、金融所得を抑えつつ資産形成を続けられます。


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