奇跡のお肉、ビヨンドミート(BYND)を3分解説/公認会計士によるここだけの徹底分析/お宝株発見で寝るだけ投資

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米国企業の解説
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販売状況

 販売の4半期推移を眺めてみると面白いことが分かる。季節性があるのか、2020,2021,2022年において2Qの販売額一番大きくなっている(理由は分からない)。米国での小売り(棒グラフの青)は2020/2Qにピークを付けて以来、その売上額を更新することができていない。一度試してみてリピートされていない可能性がある。

 海外においては、小売と外食は2019年当初は、ほとんど売上がなかったが、徐々に開拓できている。ただし、海外の外食(棒グラフの黄色)においては、2019年の数値が良いが、2020年以降伸び悩んでいるのが分かる。

出所:会社資料より筆者作成

 販売チャネル毎では凸凹はあるが、全体の売上としてはジグザグしながら成長していることが分かるが、2022年が伸び悩んでいるのも明らかだ。これは、米国市場においては、インフレ化において通常のお肉より割高なビヨンドミートを購入するかという際に、買い控えが生じてしまったことが原因と考える。また海外小売と海外外食においては、ドル高が大きな要因と考えられる。インフレとドル高はどこかの時点で鎮静化したとしても、高額でも買われる商品と、高額だと敢えて買わない商品に区分する場合、ビヨンドミートは若干後者に分類されるのではないかと考える。140兆円の食肉産業のパイがあるため、まだまだ成長余地はあるが、シェア拡大のキープロダクトが必要だろう。

出所:会社資料より筆者作成

キープロダクトと起爆剤

 宗教上の理由から、ハンバーガーという文化に触れられなかった層に、ハンバーガーを届けることができた功績は大きいと思われる。また、厳格さは様々であると考えられるが、ヴィーガンの方にお肉のようなものを提供できるようになったことも、評価されることだろう。

出所:会社HPより筆者加工

 ビヨンドミートは、年々ラインナップを増やしてきている。直近では、ビヨンドジャーキーが好評であるとされている。また2022年10月には、ビヨンドステーキの販売を開始した。以前のラインナップは、ひき肉に近い商品が多かったが、ここに来て、ビーフジャーキーやステーキといったより固形に近いものを開発できている。これで、お肉感が再現できているのであれば、面白い展開が期待できると思われる。ただ、ステーキというと、大きな塊をイメージするのであるば、現状のビヨンドステーキは、カットステーキのようなものである(下の図の一番右の写真)。

出所:会社HPより筆者加工

競合の状況と日本での展開

 競合に、インポッシブルフーズ社(米国)がある。こちらの会社もバーガー、ナゲット、ポークなどを製造販売しており、バーガーキングと提携している。ただし、メインの素材として、遺伝子組み換え大豆を利用している。一応FDA(米食品医薬品局)は安全性に問題はないとしているが、日本においては受け入れられることは難しいだろう。

 日本の食品メーカーにおいても、大豆を使った代替肉の製造販売は徐々に行われている。大塚食品のゼロミートを始めとして、カゴメ、伊藤ハム、日本ハム、プリマハム、キューピー、日清製粉などがそれぞれの商品を展開している。

 ビヨンドミートが日本市場へ参入することも予定されている。2019年には三井物産と提携のプロジェクトがあったが、こちらは頓挫している。2022年9月にユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスが日本での独占販売契約を締結したと発表された。このため、傘下のマルエツ、マックスバリューなどの店舗でビヨンドミートが販売開始される。競合の多くが大豆由来なのに対して、ビヨンドミートはエンドウ豆等由来の製品であるため、ここで優位性が出せるかがポイントかと思われる

経営状態と今後の行方

出所:会社資料より筆者作成

 上の図は、営業利益と営業キャッシュ・フローの推移である。2021年に営業損失が拡大し、2022年もそれが継続していることが痛い。また営業キャッシュ・フローが2021年から年間300億円程度の赤字となっている。つまり本業で稼げていないということである。もちろん、まずは認知とシェアを拡大することが優先することだと思われるが、今後は営業黒字及び営業キャッシュ・フローの黒字にすることが求められる。

 これには、販売価格の見直しと、製造効率の改善がある。社員を2割カットする報道もあったが、もっと根本的な問題があると思われる。研究開発が継続されているため、製造ラインを確立することは難しいのかもしれないが、大量生産して製造コストを下げる努力をしないとどこかで行き詰まる可能性が高い。また、原材料価格の高騰もあると思われるが、原材料の仕入れルートの確保と価格交渉力も求められるところだ。

 さて、2021年3月に転換社債を1,150億円発行しているが、2021年末に733億円あったキャッシュが2022/2Qで454億円に減少している。上記の営業キャッシュ・フローの状況(年間▲300億円)が継続するのであれば、1年以内に、増資、借入、社債の発行等が必要だろう。

株価の推移

出所:楽天証券ツールより筆者作成、週足上場来

 株価は、上場来安値を更新している状態である。現在、FRBの利上げ継続中のため、営業利益が赤字、営業キャッシュ・フローが赤字の企業は敬遠されているところである。

 商品としてはとても魅力的で面白いと思われる。気候変動などの環境配慮なども素晴らしと思われるため、大量製造できる体制が整い、ある程度営業利益及び営業キャッシュ・フローが改善する見込みがたったところ(必ずしも黒字の必要はない)で、エントリーしたいと思われる。ただし、現状の計算書類をみる限りではなかなか購入することが難しい銘柄と思われる。新商品などのラインナップと販売状況にも期待していきたい。また、環境負荷が小さいとして、国策(EUが先行しそうであるが)で補助金などが出ると成長しやすいと思われるため、この点も追加の情報等を待ちたいところだ。

おわりに

  • 最後まで、お読みいただきありがとうございます!
  • この点を申し少し細かく検討して欲しいや、 他の企業を分析して欲しいなどありましたらお気軽にお問い合わせください。
  • 米国株の分析をしているので、お好みの個別銘柄と出会えたら幸いです。
  • 個別銘柄の記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。

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