副業300円問題/追い詰められたマンション投資の実態(ヤバいシリーズ第2弾)

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投資の基礎、その他
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フローチャートの解説

出所:国税庁の基本通達の法令解釈通達より筆者作成、【転載禁止】

STEP1 帳簿を付けているか?

 まず、上記のSREP1にあるように、帳簿を付けていることが事業所得と認められることのスタートになります。国税庁の基本通達の法令解釈通達においても、「その所得に係る取引を帳簿書類に記録し、かつ、記録した帳簿書類を保存している場合」とされています。

 ただし、帳簿を付けていない場合であっても、収入金額 300 万円を超えるような規模で行っている
場合には、救済措置があります。帳簿書類の保存がない事実のみでは判定されず、事業所得と認められる事実がある場合には、事業所得と取り扱うこととされています。ただ、事業所得と認められる事実を証明するより、帳簿を付けてしまう方が簡単と思います。

STEP2 2つの条件を満たしているか

 事業所得として認められるには、2つの条件を満たしている必要があります。【条件1】は「その所得の収入金額が僅少でない場合」、【条件2】は「その所得を得る活動に営利性がある場合」です。

 【条件1】「その所得の収入金額が僅少でない場合」の考え方として、その所得の収入金額が、例年(※)、300 万円以下で主な収入に対する割合が 10%未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。この対策としては、複数の副業で10%を超えれば良いので、副業との組み合わせで本業の10%を超えるようにしましょう

 【条件2】「その所得を得る活動に営利性がある場合」として、その所得が例年(※)赤字で、かつ、赤字を解消するための取組を実施していない場合は、「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます。この対策としては、例年赤字であっても営業活動を継続していれば足りると考えられています。多少の販促費用をかけてでも営業を継続することが肝要です。

 (※)「例年」とは、概ね3年程度の期間とされています。

結論

 青色申告特別控除などの税額控除や損益通算などの税務上の恩恵を受けるには、事業所得として認めてもらう必要があります。そのためには、STEP1の帳簿を付けて、STEP2の2つの条件(10%&黒字)を満たす必要があります。または、法人を設立してしまうという方法も手っ取り早いのかもしれません。

マンション投資がヤバい

 さて、この副業にかかる税務の規制が入ったのは、マンション投資などで赤字を出して、給与所得を圧縮するというスキームが業者やコンサルタントにより斡旋され、ブームとなっていたことが一因として考えられます。今回の方針変更は、この節税スキームを潰しにきたと私は解釈しています。このため、上記のフローチャートでやってもらえれば分かると思いますが、利益が少なく事業規模が小さくでも、普通の副業は事業所得にたどり着くようになっていますので、安心してください。

 すでにマンション投資をされている方は、ここでページを閉じて頂いて、まだマンション投資をされていない方のみ先をお読みください。マンション投資のリスクについて記載してみました。※勝手な私見ですので、参考&私の妄想としてお読みください。リスクを承知でマンション投資をされている方は問題ないと思います。

マンション投資のリスク

  • 継続して赤字となるような物件は、この記事で記載した通り、基本的には今後節税(給与所得との相殺)には使えなくなりました。そもそも赤字になるような物件は、生涯赤字のため、リターンが期待できない投資(私見ではそれは投資ではない)と思われます。なお、2016年4月以降に購入したマンションの減価償却は定額法で計算するため、初年度に赤字の場合は、その後賃料の値下げ及び修繕費等の発生の都度赤字が膨らむことが想定されます。年度のキャッシュベースでは赤字ではないという反論もあるかと思いますが、、、よ~~く試算してみてください。
  • この規制により、マンション投資が下火になりマンション価格が下落する。円安効果で外国人が日本の不動産を購入しているが、円高に振れた際に今のマンション投資ブームは終わります。
  • キャッシュで不動産を購入している方は問題ありませんが、日銀の金融緩和(マイナス金利、ゼロ金利)が黒田総裁の交代とともに終了すると想定されています。不動産投資においては、借入金の金利も重要かと思いますが、0.5%でも金利が上がった際に旨味のある投資か検討された方が良いかと思います。
  • 不動産投資ローンと、住宅ローンを比較すると、不動産投資ローンの利率が高くなっています。そのため、低い金利を利用するために不動産投資にもかかわらず、住宅用(住むと偽って)としてローンを組んでいないか(業者が勝手にしていないも)再確認した方が良いです。住宅ローンで組んでいる場合、本当に自分が住む家を購入しようとローンを組みたいと思った際に、ローンを組めない可能性もあります。
  • マンション投資の場合、家賃保証が付いているケースがあります。その家賃保証がいつまで続くのかを確認した方が良いです。近隣の家賃相場が下がったので、家賃を下げます(まっとうな意見ですが、、)など、家賃保証の契約期間が数年で終了するケースも多くなっています。また、そもそも家賃保証をしている会社が計画倒産してトンズラしないと言い切れるかも検討した方が良いです。

 ここで、赤字が毎年継続しているマンション投資について、給与所得500万円、副業所得▲100万円を例として、税金の増減シミュレーションをしてみようと思います。

改正前

 給与所得500万円と副業所得▲100万円を損益通算(相殺)して、所得は400万円となります。

 基礎控除と税率(20%)を加味して計算すると、税額は71万円になります。

改正後

 給与所得500万円と副業所得▲100万円を損益通算(相殺)することができないため、所得は500万円となります。

 基礎控除と税率(20%)を加味して計算すると、税額は91万円になります。大雑把に計算しても20万円増加することとなります。また、ここでは所得税のみシミュレーションしていますが、所得に応じて住民税も増加することとなります。

おわりに

 ここまで、マンション投資のリスクを記載しましたが、諸外国の様に、不動産価格が上昇して、それ自体の価値が上昇することもあるので、一概に間違った投資とは言えません。特に、日本でも不動産価格は上昇し、数年住居として利用したにもかかわらず、購入した時より今の中古価格の方が高いというケースも散見されます。

 ただし、不動産投資をする場合、よく考えた方が良いです。株式の投資スタンスとして、インデックスの割合が多いですか、それとも個別株の割合が多いですか。不動産投資で考えると、マンション投資や個別の不動産へ投資するのは、株式で言うところの個別株投資です。個別株に投資する場合、そのセクター、個別株の状態などかなり良く調べますよね。本当にその物件が良い物件なのか、立ち止まって考えてみた方が良いかもしれません。個人的には、個別の物件を購入するより、リート投資する方が、リスクが分散されていて良いのかなと考えます。

 ※一般的な事象で記載しているため、優良な物件を紹介している企業を貶める意図はありませんので、ご了承ください。良い投資環境を整えていくことが、この記事の目的です。

他のヤバいシリーズは↓です。

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