ヘルスケアセクターの異端児ダナハー(DHR)を3分解説/公認会計士によるここだけの徹底分析/お宝株発見で寝るだけ投資

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米国企業の解説
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M&Aにみる、ダナハーの今後の戦略

 ここ数年で、①ライフサイエンスセグメントにおける大型の買収を行っている。2020年4月にGEのライフサイエンス部門のバイオ医薬品事業(現Cytiva:サイティバ)を2兆700億円で買収し、2021年8月にAldevron(アルデブロン)を9,600億円で買収している。

Cytivaについて

 Cytivaは、世界40カ国に展開し、3,300億円の事業規模を持ち、新薬の開発と製造をサポートする技術やサービスを提供する企業である。Cytivaによると、米食品医薬品局(FDA)によって承認された生物学的療法の75%以上がCytivaの製造技術に依存しているとされている。つまりほぼ独占している分野があるということだ

 また、現在、世界中で1000件以上の再生医療の臨床試験が進行しており、患者に合わせた先進的な生物学的治療への世界的な需要が常に増している中で、この分野での成長、生産性、革新を促進することが戦略的重点分野とされている。

 さらに、Cytivaは、AKTA、Amersham、Biacore、FlexFactory,、HyClone、 MabSelect、Sefia、Whatman、Xcellerex、 Xuri等といった広く認められているブランドを保有している。このポートフォリオにより研究や製造における、あらゆる種類の器具、消耗品、サービスをカバーすることができていることが強みだろう。

 Cytivaについては、2020年の後半分からがダナハーの決算書に含まれている。

Aldevronについて

 Aldevron(アルデブロン)は、高品質のプラスミドDNA、mRNA、およびタンパク質を製造し、研究、臨床、商業用途にわたってバイオテクノロジーおよび製薬企業にサービスを提供し、新しい治療法やワクチンの進歩に多大な貢献をしてきた。Aldevronがダナハーに加わることで、ゲノム医療の重要な分野を拡大することができ、より多くの命を救う治療法とワクチンをより迅速に市場に投入するという企業をサポートすることが可能となった。

 Aldevronの売上規模は、年間300億円程度である。Aldevronについても、ダナハーの①ライフサイエンスセグメントで独立した事業会社およびブランドとして運営される。

 この2つの会社を買収したことを契機として、ダナハーの①ライフサイエンスセグメントの戦略遂行の武器が整ったと言える。2021年のアニュアルレポートによると、①ライフサイエンスセグメントの戦略2点挙げられている。それは、「Increasing focus on genomic medicine(ゲノム医療)」と「Shift towards biologics(生物学的製剤)」だ。この2点の戦略に集中するための例として、細胞・遺伝子治療薬の開発数は2015年以降10倍増となっているとプレゼン資料では紹介されている。

 この2つの会社の買収金額と売上規模を再度確認すると面白いことが分かる。買収金額はCytivaが2兆700億円、Aldevronが9,600億円であり、売上規模は、Cytivaが3,300億円、Aldevronが300億円となっている。これは勝手な想像であるが、本命は、Aldevronの製品(ゲノム医療)であり、Cytivaはその製品を販売するためのルートと世界の顧客層であると思われる。両者に、DBS(ダナハー・ビジネス・システム)が加わることでどの様に変化するかが楽しみである。

株価について

 ヘルスケアセクター全体に言えることだが、世界人口が増加し、高齢化が進んでいる状況では、概ね成長が期待できると言える。株価は、相場全体の下落と直近の決算書の鈍化により軟調に推移している。COVID-19関連銘柄あるあるだが、COVID-19以前より株価が下がっている銘柄が多い。この点、ダナハーはCOVID-19以前と比較しても、かなり高い株価を維持している。確かにCOVID-19関連銘柄ではあるが、製品ポートフォリオはバランスが良く、COVID-19関連売上がなくなっても、売上の成長は継続されているため、COVID-19終結宣言を理由に売られた時には、良い買い場であると言える。

出所:楽天証券ツールにより筆者作成

 ここ最近のPERは30倍程度で推移している。2019~2020年にかけては、オーバーパフォームしPER40倍超えの時もあった。2022年現在の30倍程度であれば、良い水準であると言える。ダナハーが着目するゲノム医療について、基礎研究は進んでいるものの、そこまで進展しているわけではなく、すそ野が広がるまで少し時間がかかるだろう。

 ただし、③環境セグメントを分社することで、成長率と利益率がKAIZENされたように見えるため、株価もブーストがかかる可能性あるため、株価の行方は楽しみである。

 少し記事が長くなってしまったので、ゲノム編集、ゲノム医療の可能性については、下記の記事に詳細を記載していますので、併せてご覧頂ければと思います。

おわりに

  • 最後まで、お読みいただきありがとうございます!
  • この点を申し少し細かく検討して欲しいや、 他の企業を分析して欲しいなどありましたらお気軽にお問い合わせください。
  • 米国株の分析をしているので、お好みの個別銘柄と出会えたら幸いです。
  • 個別銘柄の記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。

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