がん新薬に期待のメルク(MRK)を3分解説/公認会計士によるここだけの徹底分析/お宝株発見で寝るだけ投資

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パイプラインの状況と、今後の戦略

 キイトルーダを含む、がん関連の治療薬の売上に占める割合は2022年は39.6%となっている。また、研究開発のパイプラインにおいても、がん関連に関するものの本数が圧倒的で他の治療薬の研究が進んでいないことが分かる。

 なお、パイプラインの数が多いが、その詳細をみると、同じ薬で対象部位が異なるものが多く走っているため、新薬の数でカウントするのであれば、がん関連のパイプラインにおいては、1/3くらいで考えておいた方が良いだろう(他社も同様のパイプラインの記載方法となっている。)。 

出所:会社資料より筆者作成

 自社研究のパイプラインにおいては、がん関連の研究に偏っているが、提携や買収によってその偏重を打破しようとしている。直近の代表例を2つ紹介しよう。なお、2社目はがん関連であるが、データが面白いため紹介している。

アクセレロン・ファーマの買収

 2021 年 11 月に、メルクはバイオ医薬品の上場企業であるアクセロン・ファーマ(Acceleron Pharma Inc)を1兆1,500億円で買収した。アクセロンは、細胞の成長、分化、修復の制御に中心的な役割を果たすトランスフォーミング成長因子(TGF)の研究を行っている。このタンパク質は、細胞の成長、分化、修復の制御に中心的な役割を果たすことが知られており、アクセロンの主要な治療薬候補である「ソタテルセプト(sotatercept)」は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者の回復を目指すものである。

 「ソタテルセプト(sotatercept)」は、フェーズ3段階であるが、2022年10月10日の発表ではプラセボと比較した場合、肺動脈性高血圧症(PAH)の患者が6分間で歩行できる範囲を延長したとして、後期の試験の目標を達成したとされた。これを受けてメルクの株価も上昇している。

 買収当時、メルクは肺動脈性肺高血圧症(PAH)分野が2026年までに7,500億円の市場になると想定している(推定患者4万人)。

Orion Corporationとの共同開発・共同販売契約

 2022年7月に、メルクとOrion Corporation(以下、オリオン)は、オリオンの治験薬ODM-208のグローバル共同開発及び共同商業化に関する契約を発表した。ODM-208(メルクのパイプラインでは、MK-5684)は、経口の非ステロイド性CYP11A1阻害剤であり、転移性前立腺癌の治療薬としてフェーズ2で試験を実施している。

 この契約で、メルクは、オリオンへ2兆9,000億円を支払っている。この一時金の支払いが2022年3Qの研究開発費に計上される。

 2021年はかなり業績が良く、研究開発費で1兆2千億円計上したが、営業利益は1兆2千億となっている。2兆9,000億円の一時金の費用計上は事前にアナウンスされているものの、2022/3Qの営業利益はかなり圧迫される可能性があり、ヘッドラインで反応した場合は、良い買い場となるであろう。再度、一時金の金額と、2021年の研究開発費と利益の規模感と比較して欲しい。

株価と配当について

出所:楽天証券ツールより筆者作成、月足10年

 株価については、上下動はあるが基本的に右肩で成長している。PER30倍程度で推移しているのだが、covid-19の関係もあり2019年、2020年は40倍で評価され、2021年は17倍となり、現在も17~18倍程度で推移している。

 配当利回りが、2.9%あるのは魅力的だろう。ただし、配当貴族指数銘柄のように、連続増配を行っているわけではなく、2018年には減配も行っているため、配当に大きく期待しない方が良いだろう。

 キイトルーダを補完できるような新薬の開発ができるか否かで、評価が分かれると思われる。ただし、キャッシュが潤沢であり、買収や提携で活用して新薬開発を加速させているため、個人的には問題ないと考える。そのため、がん以外のパイプラインが充実したら買い増したい銘柄である考えている。

おわりに

  • 最後まで、お読みいただきありがとうございます!
  • この点を申し少し細かく検討して欲しいや、 他の企業を分析して欲しいなどありましたらお気軽にお問い合わせください。
  • 米国株の分析をしているので、お好みの個別銘柄と出会えたら幸いです。
  • 個別銘柄の記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。

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