クリーンエネルギーに特需
2022年8月16日に、バイデン大統領が署名し「インフレ抑制法案(Inflation Reduction Act of 2022)」が成立しました。今回、注目するのは「エネルギーの安全保障と気候変動」の分野で、税額控除や補助金等を通じて、エネルギー関連に36兆9000円億円の投資が行われることだ。
特に36兆6900 億円のうち 43%に相当する16兆300 億円がクリーン電力に対する税額控除となっている。さらに、クリーン電力の導入を支える製造業への支援も手厚く、太陽光パネル、風力、蓄電池などの施設製造に対して、10年間で4兆300億円の税額控除が行われる。このため、クリーンエネルギー関連に10年間で総額20兆円規模の税額控除が行われることとなる。
ただし、これは1年間で実施されるものではなく、10年間で手当される総額を示しているので注意が必要だ。いずれにしても、1年間で4兆円近い税額控除が手当されるため、エネルギー分野にとっては、相当な追い風となる。
この政策決定を受けて盛り上がっているのが、クリーンエネルギー界隈で特に、クリーンエネルギーETFの「ICLN」も様々な経済番組で紹介されるほどだ。確かにこれだけの支援があれば、目隠しして、クリーンエネルギ関連に投資するのもアリとも思える。
SDGsとの関連もあり、注目されているセクターだけあり、2020年4月以降はS&P500の株価推移を圧倒的にアウトパフォームしている。
クリーンエネルギーETF「ICLN」の中身は何?
クリーンエネルギーETF「ICLN」の中身を見たことがあるだろうか。このクリーンエネルギー関連銘柄は規模が小さい会社も多いため、個別銘柄に投資するのではなく、多種の銘柄が入っているインデックス投資をした方が良いと言われるが、本当にそれが正しいのか、深掘りしてみたいと思う。
まず、ICLNはS&Pグローバル・クリーンエネルギー指数に連動するように設計されているETFである。2022年の最新のS&Pグローバル・クリーンエネルギー指数の構成銘柄は97銘柄である。
次に、投資セクターは、utilities36%、information technology29%、industrials33%と分散されている。97銘柄で構成されていることも併せて分散効果はあると思われる。
気になる点が2つある。
一つ目の懸念点は、S&Pグローバル社が選別しているため、優良な会社が入っていると思われるが、かなり厳しい選定基準で構成されるS&P500の選定基準を使用しているわけではないことだ。特にS&P500の構成銘柄は、継続して利益を計上していることが条件になっているが、上位銘柄でも営業赤字となっている会社もあるため、注意が必要だ。
二つ目の懸念点は、中国の会社が97銘柄中23社入っており、投資比率も13%を占めていることだ。中国企業がSEC(米証券取引委員会)の監査強化を拒む姿勢もあったように、中国の企業については、IRに対する姿勢と、発表される数値が正しいものなのかが個人的には判断が付かない。
基本的には、インデックス商品は良い投資先だと考えている。特にS&P500連動インデックスや、全世界株式インデックス(オルカン)するのが、スキルを必要としないで勝率をあげる最良の方法だと思うが、このクリーンエネルギーインデックス「ICLN」とはちょっと距離を置こうと思う。理由は、優良な会社と、優良ではない(と思われる)会社がごちゃ混ぜになっている可能性がある商品だからである。もちろん、個別銘柄に一点集中した場合は、紙くずになる可能性もあるので、リスクを分散するなら、クリーンエネルギー関連の個別銘柄に投資するよりは、「ICLN」ETFの方が安全である。
クリーンエネルギー関連銘柄のどこに投資する?
ICLNに投資しないとしても、クリーンエネルギー関連には多額の税額控除が行われ、企業は自然と業績が上向いてくる。そのため、クリーンエネルギー関連銘柄に投資しないという選択肢はない。
そこで、上位銘柄については、少しずつ検討し、随時公開予定です(クリックできるところは分析済みです。)。優先して分析して欲しい会社があれば気軽にオーダーください!)
No. | ティッカー | 銘柄 | セクター | 保有比率 | 時価総額(億円) |
1 | ENPH | エンフェーズ・エナジー | information technology | 9.9% | 38,179 |
2 | VWS | ベスタス(デンマーク) | industrials | 6.3% | 35,070 |
3 | SEDG | ソーラーエッジテクノロジーズ | information technology | 6.2% | 14,861 |
4 | PLUG | プラグパワー | industrials | 5.6% | 14,970 |
5 | ED | コンソリデーテッド エジソン | utilities | 5.5% | 34,919 |
6 | FSLR | ファースト ソーラー | information technology | 5.2% | 13,474 |
おわりに
・最後まで、お読みいただきありがとうございます! ICLNに入っていないクリーンエネルギー銘柄は、 ネクステラ・エナジー や テスラ も分析していますので、参考にどうぞ。 ・この点をもう少し詳しく解説して欲しい、優先して解説して欲しい他の会社などありましたら お気軽コメントください。お待ちしています。 ・シリーズ化してお届けしていますので、シェア、コメントなどで反応してもらえたら、 更新の励みになります。 ・個別銘柄/ETFの記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。
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