(最新)23/3Qエヌビディア(NVDA)を徹底解説/公認会計士によるここだけの分析/お宝株発見で寝るだけ投資

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米国企業の解説
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各事業の現在地と将来性

出所:会社資料より筆者作成

 2018年頃から右肩上がりであった売上が2022/2Qに鈍化したこと、通期の売上見通しの低迷から、エヌビディアの株価は低迷している。GPUにおいても、半導体セクターの特徴である買替需要や半導体サイクルがあることが分かる(半導体セクターにおいては、2~4年おきに好不況が循環すると言われている。)。上の図からも分かるように、特に大きく落ち込んだのがゲーム関連の売上(青の部分)であった。

 この売上の落ち込みは一時的なものか、それとも継続するものなのか、事業区分毎に売上推移及び将来性について検討していこうと思う。

ゲーム関連

出所:会社資料より筆者作成

 ゲーム関連では、ゲーム用PC向けGPU「GeForce」(ジー・フォース)が中心である。3Dグラフィックスのリアリティ向上技術であるレイ・トレーシング(光線追跡法)を搭載したGPU「GeForce RTXシリーズ」への買い替えがあり、2021年までは好調であった。ただし、COVID-19が収まってきたこと、および、ゲーム用PCの購入が一巡したことにより、2022年のゲーム関連は若干低迷している。中国のゲームメーカー最大手のテンセントも大型ゲームの承認が一年留まっていたこともゲーム業界が低迷したことの一因でもある。

 eスポーツの市場拡大等により、娯楽としてPCを使ったゲームを楽しむ人が増えていることが、GPU需要の裾野を広げている。appleも同様の戦略を取っており、ゲーム機器を購入してゲームを楽しむのではなく、特定の機器(媒体)は必要ないというのが広まってきている。「GeForce NOW」では、現在1,000タイトル以上(2022年秋1,400タイトルに増加)を楽しむことができるようになっている。一般のスポーツもトッププレイヤーが活躍してから、何年もそのスポーツの需要が高まるため、eスポーツはまだ始まったばかりで、需要もまだまだ拡大すると想定している。

 ゲーム用PCの「GeForce RTX30」は、ゲーマーとクリエイター向けの最速のノート PC を実現するように設計されているが、少し意外だったのが、薄くて高性能ということだ。なお、「GeForce RTX™ 4090」は発売してすぐに完売となっており、まだ需要は好調である(2023/3Q)。ただし、昨年のように大きな売上とはなっていないため、今後上向くのかは注視する必要がある。

データセンター関連

出所:会社資料より筆者作成

 データセンターの売上も2019年に若干鈍化したが、その後大きく成長している。主力である「Tesla(テスラ)」GPUは、サーバーに搭載されることで、AI処理のように膨大な計算を短時間で処理することが必要な際のアプリの処理速度を加速することができる。前世代製品に比べAIアプリ処理性能が大幅に向上した「A100」GPUが高評価で、データセンター向け売上高は上の図のように大きく伸びている。この「A100」GPUは2020年から販売されており、価格は1万ドル程度である。

 データセンターの需要の伸びは、別の記事に譲るが、2022年後半にデータセンター向けGPUの新製品「H100」GPUの出荷開始が見込まれている。これは、「A100」GPUと比較して30倍という高速化を大規模な言語モデルで実現すると言われており、価格は3.5万ドル程度である。「A100」GPUでさえ、市場を席捲したため、この「H100」GPUの販売により、さらに他を圧倒し、営業利益率も大きく上昇することを想定する。

 「H100」GPUは世界最速スーパーコンピュータの最新のTOP500リストの新システムの90%がNVIDIAによって駆動されており、ほぼ独占しているといっても過言ではないだろう。

 2023/3Qの決算は厳しい結果となったが、このデータセンター事業だけは例外であり、前年同期比31%増と高水準を維持している。当面このデータセンター事業がNVIDIAの業績を支えることとなるだろう。

グラフィック関連

出所:会社資料より筆者作成

 グラフィック関連の売上規模は、ゲームやデータセンターと比較すると大きくないが、「Omniverse」というソフトウェアに注目している。「Omniverse」は、映像クリエーターや設計デザイナーなどが、使用するアプリが異なる場合であっても、クラウド上の仮想空間でリアルタイムの共同作業を出来ることが特徴だ。

 上記を聞いて、直近で大型の買収があったフィグマを思い出さないだろうか。価格の妥当性については?が出ているが、アドビが2022年9月にフィグマを2兆円で買収している。フィグマのソフトウェアでは、デザインやソフトウェア設計を、リアルタイムで共同作業できるというものであった。

 NVIDIAの「Omniverse」はメタバースのアプリケーションを作成し、運用するためのプラットフォームで、今までより短期間でカスタムの 3D パイプラインを構築して、大規模な仮想世界をシミュレートできるようになっている。つまりフィグマのメタバース版が「Omniverse」ということである。

 メタバースについては、どの程度の市場となるか手探りの段階ではあるが、webやスマホがここまで成長するとは予想されていなかったのと同様に、気づいたらメタバースがインフラとなっている時が到来するだろう。その際には、メタバースを共同作業できる「Omniverse」は重宝されることだろう。

 2023/3Qの業績は振るわなかったが、少し先に花開く事業のため、ゆっくり見守ることとするのが良いだろう。

車関連

出所:会社資料より筆者作成

 車関連もゲームやデータセンターと比較すると、売上規模は大きくはないが、年間で700億円程度はあるため、大したものだ。車載SoC(システム・オン・チップ)「Drive Orin」(ドライブ・オーリン)がローンチされた。「Drive Orin」を搭載したプラットフォームは、自動運転を担う頭脳の役割を果たし、今後の自動運動を支える役割を果たすこととなる。そして、今後6年間の自動車関連企業向けの受注額が1兆1,000億円を超えたと発表している。Amazonプライムを支える自動運転トラックを開発する PlusはAmazonへ自動運転トラックの提供を1,000台契約したとしたが、 Plusはすでに7,000件の「Drive Orin」を予約している。

 また、「NVIDIA DRIVE Map」が作成されている。このマップは データ収集車のカメラ、レーダーなどのセンサーを使用して DRIVE Map を作成している。高速道路や都市部など一部の環境では 5 センチ以下の精度を実現し、高いレベルの運転自動化 (L3/L4) を実現することとしている。地図を見ようとすると、Googleマップを使うことが多いだろうが、自動運転に必要な地図が「NVIDIA DRIVE Map」であれば、Googleマップから「NVIDIA DRIVE Map」に自然と置き換わる未来が見える。

 完全な自動運転社会は、2035年に実現すると想定されている。だいぶ先の話ではあるが、自動運転車が増加すればするほど、NVIDIAの売上は成長するだろう。なお、Amazonは自動運転技術や電気自動車技術に多額の投資を行っており、ロボタクシー企業のZoox を 1,300億円で買収している。現在は、間接的にNVIDIAの製品を利用する形となっているが、市場が大きければ、Amazonに限らず資金力を活かして競合会社が出現する可能性もあるため、この点は留意する必要がある。

次のページでは、営業利益率の復調と、株価の状況について解説していきたいと思います。

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