シノプシスとの提携は革命
エヌビディアがAIに必要な半導体のGPUを製造しており、ほぼ寡占状態で独走しているのは、ご存知かと思います。ただ、やはり実際にそのAIを用いたサービスがマネタイズできるのかという点で疑問符が付いていたのは否めなかった。さらに、エヌビディアとOPENAIを中心に循環取引まがいに契約が渦巻いており、AIバブルを想起させる状態であった。この状況でさらにエヌビディア株を買いますには、ちょっと危険な水域に達したのは事実であろう。210ドル付近にタッチしてからダラダラと下げてきてしまったのが、証左であろう。
と、単に消費者(個人)向けの生成AIがメインで終わっているのであれば、エヌビディアもここまでかなと思っていました。なぜなら、今後はそのAIを使ったサービスを提供している会社がもてはやされる時代が来るからです。
しかし、流石というのか、ただでは落ちて来ないのがエヌビディアで、導体設計支援ソフトウエア大手の米シノプシスと技術提携したというニュースが入ってきた。まだ、あまり材料視されていないのだが、これは大きな転換点である。
一昔前に、エヌビディアが単なるゲーミング半導体の会社だと思っていたのが、GPUがAIに利用できると分かって跳ねたのと同様の大きな転換点が来ている。個人的には、一度死んだエヌビディアが更に飛躍する材料かと思っている。
シノプシスとの技術提携で起こること(BtoBへ)
まず、シノプシスは EDAソフト+設計IP+シミュレーション技術 を組み合わせ、半導体設計の「上流から下流まで」を一貫して支援する企業です(業界NO.1、寡占40%)。従来のEDAに加え、AIや物理シミュレーションを統合した総合設計プラットフォームへ進化しており、競合のCadenceなどと比べても「設計からシステム最適化までの幅広さ」が最大の強みです。
つまり、今まで、エヌビディアのエンドユーザーが生成AIの利用者=個人で、BtoCの事業でほとんどマネタイズできない世界だったのが、シノプシスと連携することで、BtoBの事業となることで、マネタイズできる世界に入ってきたことである。
シノプシスの顧客には、電子機器メーカー(スマートフォン、PC、自動車、IoTデバイス)も多いことから、産業界に直接影響を及ぼすことができる立場となってきた。まあ、当たり前の話ではあるのだが、単に個人などが生成AIを使って、日々の仕事の効率が上がった!なって喜んでいるだけでなく、産業利用しないとAIの能力が勿体ないのであり、そこが見えてきたのが今回の提携である。

エヌビディアホルダーからの撤退ライン
いつまで、エヌビディア株を保有するかということですが、エヌビディアの将来性を信じて購入したのであれば、仮に高値で掴んでしまったとしても、保有し続けるのが良いかと思います。
確かに、Google、AMD、OPENAIなどが競合製品を作成していることは確かであるが、競争優位性が損なわれるまでは、保有して良いと思う。なかなか素人がエヌビディアの競合優位性を図ることは難しいのであるが、簡単な方法が一つある。それは、営業利益率を見ることである。現状は営業利益率は約60%超となっている。2023年末には20%前後だったため、わずか2年で約3倍の水準に上昇していて、ここ数四半期はこれを維持しているということは、売れに売れているということである。この営業利益率が減少してきたら、決算資料との睨めっこを開始する時かと思う。なお、粗利(売上総利益)も70超で推移しており、半導体業界でも突出した高収益構造で、化け物会社であることは間違いない。
仮に、競合との競争が激化してきたら、まず先に営業利益率が落ちてくるので、営業利益率が下降トレンドに入ったら撤退を考えても良いだろう。



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