ダラー・ゼネラルの強さの秘密
では、なぜダラー・ゼネラルは成長を続けることができるのか、その強さについて深掘りしていきたいと思う。
低価格にできる仕組み
ダラー・ゼネラルは、下の図の様に、5年間の営業利益率は8%超を維持している。これだけの利益率を維持するには、何かしらその秘訣があると考える。特に、ダラー・ゼネラルの商品は、食料品店やドラッグストアで販売されている同様の製品よりも20〜40%低い価格で提供されている。
ダラー・ゼネラルの戦略として、建設済みの建物をリースしています。また、店舗もシンプルで、金属棚に商品が陳列されているだけで、派手な装飾等がないのが特徴である。このため、出店費用が大幅に削減できることなる。
消耗品以外の商品を取り揃えているものの、商品数を絞っており、1万数千アイテムのみとしている。他の小売大手の商品点数は5万から10万アイテムを揃えていると言われている。この施策により、少ない点数を一括で大量に仕入れることで仕入れコストを抑えている。また、プライベートブランド商品を拡充させている(以前はダラー・ゼネラルも1つのアイテムに対して複数の種類の商品を用意していたが、転換させた)。
小さな店舗が多いため、従業員数も少なく、棚卸担当、レジ担当と少人数で運営できるシステムとしている。これにより、人件費を抑制することができる。
自社の輸送システムを拡充させている。サプライチェーンが混乱した際に、多くの企業では輸送コストが大幅に上昇した。ダラー・ゼネラルは一部ではあるが、自社の輸送システムを保有しているため、輸送の外注にかかる費用に競争力を持たせることが可能となっている。2022/2Qのフリート保有台数は 約1,100 台で、2022 年末には 約1,400 台にすることを目標としている。
消費者ニーズとの合致
大規模な競合の小売業者や食料品店が15〜20マイル以内にない農村部に出店することに力を入れている。7割程度の店舗がこのような条件に合致したところへ出店している。近隣に他のお店がないため、消費者は日常的にダラー・ゼネラルに来店することとなる。
近年は顧客層を充実させようと、若干転換させているようだが、基本的には所得が低い方や、年金生活者の様に収入が固定されている方をメインの顧客層と位置づけ、ここをターゲットに、経営を行っている。そのため、華美な装飾や、高付加価値の商品などは必要ないこととなる。
このように、ダラー・ゼネラルは、企業努力でコストを抑制させながら、低価格を好む顧客層に対して店舗を展開することで、その強さを発揮している。
新しい取り組み
ダラー・ゼネラルは様々な取り組みを開始させている。まだ開始されて間もないため、その効果は図ることができないが、直近の例を紹介をしておく。
- ①ECコマース(「ダラー・ゼネラル・アプリケーション」)と「DGメディアネットワーク」の充実。これは、Amazon、ウォルマートを意識したものと思われる。
- ②「pOpshelf」の拡充、季節用品、室内装飾品、健康・美容用品、清掃用品、パーティー用品、娯楽用品 などのカテゴリーに特化した店舗で、2020/2Q末で80店舗を展開。(中高所得向け、店舗デザイン、大型店舗と、以前の戦略とは少しことなる店舗)
- ③「DGフレッシュ」は、冷凍・冷蔵商品の自主流通モデルであり、商品コストの削減、品揃えの充実を目的としている。
- ④米国外での最初の出店となるメキシコでの出店。2022/4Qを予定。国際展開は2021年12月に発表済み。
- ⑤「ファストトラック」(Fast Track)、非冷蔵物流センターにおける仕分け作業の最適化とセルフレジで、2022 年末までに最大 11,000 店舗においてセルフレジが導入される予定。
①、②は、消費者のニーズに応えて展開しているものと想定するが、上述したダラー・ゼネラルの強みと合致しているのかが分からない。
③、④、⑤は、ダラー・ゼネラルの今後の成長をさらに支えることとなり、その強さをより強固にできるものと考える。
株価について
株価は業績の成長に合わせて、堅調に推移している。2022年のPERは23倍であり、ここ数年は20倍前後を推移しているため、割高でも割安でもないだろう。
ディスカウントストアは若干飽和していると言われているが、小売の競合とどのようにすみ分け(EC、低所得者向け、中高所得向け、販売商品範囲)るのかが、今後の成長のポイントになると思うが、この点は下記2点より問題ないと考える。
①営業利益率が10%あり、小売の営業利益率水準が5~6%程度であるため、まだまだ値下げをする余地がある。②メキシコ店舗の拡充が良い結果を生みだす。地政学リスクや、アメリカとの地理的距離の関係から米国企業や個人のメキシコ進出が相次いでいる。まず、経済摩擦/サプライチェーンの問題や、輸送コストの関係から、米国企業は米国に生産拠点を戻すことも初めているが、メキシコへの生産拠点を移しているとの報道をよく目にする。また、個人もリモートワークが認められる事が増えてきたため、生活費が高い米国から、生活拠点をメキシコへ移す方も増えている。つまり、米国とメキシコの経済圏とのしての融合が加速し、メキシコの経済が潤うことが想定される(これは客観的な数値を探せなかったのだが、筆者の肌感覚程度に捉えてもらえればと思います)。このため、私もメキシコ銘柄に投資したいと探したほどであるが、ダラー・ゼネラルに投資するというのは、面白い選択肢であり、良い出逢いとなった。
おわりに
- 最後まで、お読みいただきありがとうございます!
- この点を申し少し細かく検討して欲しいや、 他の企業を分析して欲しいなどありましたらお気軽にお問い合わせください。
- 今回分析してみて、小売セクターもなかなか面白いと思ったので、競合のダラー・ツリー、ウォルマート、コストコなども、今後分析(+競合比較)する予定です。
- 米国株の分析をしているので、お好みの個別銘柄と出会えたら幸いです。
- 個別銘柄の記載がございますが、投資は自己責任でお願いいたします。
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